Q 死後事務委任は生前の手続きは対応しません。ほかの制度や契約と組み合わせたほうがいいのでしょうか
A 任意後見制度と一緒に契約するケースは多いですね。任意後見制度とは、本人の判断能力が十分なときに、委任したい事務を契約し、認知症などで判断能力が不十分になったら、その事務をやってもらう制度です。生前の財産管理やさまざまなサポートをしてもらえます。また、任意後見契約をした人でないと、死亡届を提出できません
Q 死後事務委任は死後、任意後見制度は生前を担当するのですね
A ざっくり分けるとそうなります。ただ、任意後見制度は本人の判断能力が不十分になった段階で、申し立てをしないと制度が発効しません。そのため、任意後見を発効させるタイミングを見極めるための見守り契約や、身元引受人を病院や施設で求められたときのための契約も結ぶ人が少なくありません。さまざまな契約を組み合わせることで、生前から死後まで隙間なく対応できます
Q 死後の財産のことは遺言ですね
A はい。財産と身分のことは死後事務委任では委任できません
Q 死後事務委任で「〇〇さんに△△をあげたい」などと書いたら、無効なんですか
A 財産をどうするかは遺言でしか決められません。遺言がなく、死後事務委任契約に書かれていても無効です。また、遺言と死後事務委任契約の内容に齟齬(そご)がある場合、遺言が優先されることが多いです。そのあたりのことは死後事務委任契約に盛り込みます
Q 死後事務委任契約の内容に遺族が納得しないことはありますか
A あります。ただ、死後事務委任は依頼者の遺志をまっとうさせるための契約です。遺族の抗議に屈しては契約違反ですし、遺志を尊重しないことになります。十分に説明し、理解を得るように努めます
(回答者 司法書士 庄田和樹)
=5月は「マンション管理」です
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