10月10日に開催された『B-side Special Talk Event』

<世界的にメンタルヘルスの重要性への注目度が増すなか、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)はアーティスト・クリエイター・スタッフの心身の健康をサポートするプロジェクトに取り組んでいる>

世界メンタルヘルスデーとは

仕事のストレスや人間関係、社会不安などさまざまな要因で心に不調を抱える人は多い。

職場でのストレスを抱えることが多い日本では、2015年から企業での社員に対するストレスチェック制度が義務化され、2024年10月に東京都カスタマーハラスメント防止条例が制定されるなど法整備も進んでいるが、社会の一員としてそれぞれの立場でこの問題と向き合う必要があるのではないか──。

心の健康「メンタルヘルス」は世界共通の課題でもある。世界精神保健連盟は、1992年よりメンタルヘルス問題に関する世間の意識を高め、偏見をなくし正しい知識を普及することを目的として、10月10日を「世界メンタルヘルスデー」と定めた。その後、世界保健機関(WHO)も協賛し、正式な国際デー(国際記念日)となり現在も毎年10月10日には各地で啓蒙のためのイベントが開かれている。

アーティスト・クリエイター・スタッフのメンタルヘルスへの問題提起

多数のアーティスト・クリエイターとマネジメント契約をする業界大手のソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は、アーティスト・クリエイター・スタッフが心身ともに健康な状態で創作活動に集中できるようサポートするプロジェクト「B-side(ビーサイド)」を2021年9月に立ち上げた。

SNSの普及によりアーティストやクリエイターなど著名人がファンと直接交流をする機会が増えた一方、誹謗中傷を受けるリスクも増えている。マネージャーや事務所が個別にフォローをする従来の形では、対応しきれなくなっているのが実状だ。

B-sideでは、「オンライン医療相談」「定期開催体験カウンセリング」「専門家によるカウンセリング」「スタッフに向けたワークショップ」を社内で無償提供、メンタルヘルスの専門家の力を借りる形でサポートを行っている。

同時にYouTube/Podcast番組で「B-side Talk ~心の健康ケアしてる?」を運営し、B-sideプロジェクトの取り組みや想いを伝えている。MCを担当するのは、ロシア人コラムニストでコメンテーターの小原ブラスさんとアイドルグループ「フィロソフィーのダンス」の奥津マリリさん。さまざまなゲストを迎え、メンタルヘルスをテーマに対談している。

10月10日に開催された『B-side Special Talk Event』

B-sideプロジェクトは、国際メンタルヘルスデーである10月10日にイベント『B-side Special Talk Event ~世界メンタルヘルスデー2024 #だれかとはなそう~」を開催した。イベントは昨年に続いて2回目となる。ゲストにはアーティストの西川貴教さん、「B-side Talk」のMCを務める小原ブラスさんと奥津マリリさん、「心と体のスペシャリスト」として精神科医で早稲田大学スポーツ科学学術院の西多昌規教授が登場。フリーアナウンサーでマインドフルネストレーナーとしても活躍する内田恭子さんが司会進行を務めた。

「メンタルヘルスについてあまり考えたことがない」と話す西川さん、「体調が悪くなるときの原因のひとつにメンタルの不調がある」とメンタルケアの重要性を語る奥津さん、「運営するYouTubeチャンネルの再生数が伸びなかったり、アンチコメントがあったときに、メンタルを鍛えるメントレをしようと思ったことがある」と過去を振り返る小原さん。

YouTube/Podcast番組「B-side Talk」などで募集した約100名の観客を前に、メンタルケアにおいて大事な休養や睡眠、セルフケアについてゲストたちが率直に語った。詳しい様子はYouTubeで見ることができる。

山口一郎さんと小森隼さんのSP対談も実現

「世界メンタルヘルスデー」当日は、サカナクションの山口一郎さんとGENERATIONSの小森隼さんのスペシャル対談もYouTube/Podcastで公開された。2022年にうつ病を発症した山口さんは2023年10月に行ったソロ・ツアーの最終日にステージ上で自身のうつ病を公表した。うつ病発表後も、自身の病気と向き合いながら療養の様子を自身のYouTubeチャンネルで発信し続ける山口さんは、メンタルケアの重要性を実感するひとりだ。もともと山口さんと親交があり、うつ病の療養中もプライベートでコミュニケーションをとり支えたのが小森さんだ。

二人の対談では病気になった当事者としての山口さんの目線と、サポートする立場の小森さんからの目線を教えてくれる。

日本人は先進国のなかでは自殺率が高い一方で、心理カウンセリングの受診率が低くセルフケアの概念が浸透していないと言われている。メンタルの不調は表に出にくく、あくまで個人の問題として相談することに抵抗感を感じる人が多いのだろう。だれもが不調を感じたときに相談できるようになるためには、「メンタルヘルスは社会の問題」という認識が広がっていくことが重要だ。社会に影響力を持つ企業がメンタルヘルスやセルフケアについて積極的に啓蒙していくことで、社会の変化に繋がっていくことを期待したい。

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