若者は、物を捨てずに売却する傾向があるという(イラストはイメージ)=ゲッティ

 若者は高齢層より物を捨てない――。

 そんな傾向が、フリーマーケットアプリを運営するメルカリのアンケート調査で明らかになった。若者層に持ち物を資産として捉える意識が広がり、不用になっても捨てずに売却するためとみられる。

 調査は2024年10月、10~60代の2400人を対象にインターネットで実施。家庭に保管している服や時計、家電などの持ち物について品目や数量を聞いた。ニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員が監修した。

 所有物を金額に換算した「持ち物資産」は1人あたり平均約182万4000円で、国内全体で算出すると約216兆円になった。国の統計や調査などから、国内の持ち物関連の年間消費額は約20兆円と推計され、資産は約10年分に相当する。

持ち物も不用品も多い高齢層

 内訳は「服飾雑貨」が33・6%で最も多く▽「趣味(ホビー・レジャー)」27・5%▽「家具・家電・雑貨」19・6%――と続く。保有している数は60代が最も多く平均528・2個、10~20代が最も少なく平均239・2個だった。

 また、1年以上使っていない「不用品」についても聞いた。保有している中で不用品の割合は、60代が最も高く20・7%、最も低いのは10~20代で10・3%だった。

 直近3年間で不用となった服などの整理の仕方を尋ねたところ、「捨てた」と答えたのは60代が最も多く78・3%、10~20代は53・6%で最も少なかった。

若者は高齢者よりも、持ち物を捨てず売却する傾向があるという(写真はイメージ)=ゲッティ

若者が重視する「換金可能性」

 メルカリが23年に行った消費行動に関する意識調査では、Z世代(調査時18~24歳)は上の世代に比べ、「自分の持ち物は現金化しやすい」「新品購入時にリセールバリュー(再販価格)を考える」と捉える傾向が強く出ている。

 今回の調査を分析した久我上席研究員は「若い層ほど不用になる持ち物を最小限に抑え、購入する時から将来的な換金可能性を見据えている。節約志向を超えた、物の循環を意識した生活スタイルと言える。今後、資産としての物の価値が広く認識されることで、持続可能な社会の実現が加速するのではないか」とコメントしている。【太田敦子】

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