今回の調査対象は、静岡・藤枝市に存在するとっても長い地名だ。それは静岡県内で一番文字数の多い漢字10文字の地名。2人の人物の名前がくっついた場所だった。
まず市民に聞いてみたが・・・
これまで難読地名や変わった地名を調査してきたが、今回は「県内で一番長い地名」だ。
それは藤枝市にあるということで、早速にむらあつとリポーターが藤枝市民が集う憩いの場、蓮華寺池公園で聞き込み調査を開始。
この記事の画像(10枚)「全然わからない」「『上藪田(かみやぶた)』とか」「『長楽寺(ちょうらくじ)』ですかね」「なんだか左衛門とか、そういう感じですか」
知っている人はいなかったが、「なんとか衛門」、「善左衛門(ぜんざえもん)」など、人の名前と関係している長い名前の地名があるという情報が得られた。
漢字10文字の地名が判明
更なる情報を求めて向かったのは、藤枝市郷土博物館・文学館だ。藤枝市の歴史や文化に関する史料を数多く収蔵している施設なのだ。
静岡県内で一番長い名前の地名が藤枝市にあるのか?
藤枝市郷土博物館・文学館 千葉宏太さん:
おそらく「きゅうべえいちうえもんうけしんでん」です
県内で一番長~い地名の正体、それは「久兵衛市右衛門請新田」。
漢字で書いても10文字。郵便番号が振られている地名の中で一番、文字数の多い地名だ。
1932年(昭和7年)の地図を見せてもらった。
青島町という駅の方にあった土地の中に、久兵衛市右衛門請新田があるそうだ。
長すぎて2行にわたって書かれていた。
2人のビジネスパートナーから命名
なぜ、こんなに長い地名になったのだろうか。
藤枝市郷土博物館・千葉さん:
開墾した人の名前を2つもらっていますが、一人目が田中久兵衛、もう一人が市右衛門。市右衛門はもともと遠江にいた人が藤枝に移ってきて、土地がない時に、川も流れていて肥沃(ひよく)だということで田んぼをつくったんですね
久兵衛さんと市右衛門さんが、請け負って耕した新田だから、「久兵衛 市右衛門 請 新田」と言われているのだ。
新田開発の歴史がそのまま地名になっていた。
2人はいまで言うビジネスパートナーのような関係だったそう。
ちなみに藤枝市周辺には他にも「忠兵衛新田」、「善左衛門新田」など、開墾した人物の名前にちなんだ地名が数多く存在していたそうだ。
現地は非常に狭かった
昭和7年の地図を見ると「久兵衛市右衛門請新田」には、たくさんの飛び地があった。
すべて久兵衛と市右衛門のコンビで開墾した新田なのだそう。
多くの久兵衛市右衛門請新田は別の地名に変わってしまったが、その中の1区画だけ現在でも残っている。
ただ、どの辺りにあるのか小さい区画なので学芸員の千葉さんも知らないという。
そこで「久兵衛市右衛門請新田」の現地調査に向かった。
さっそくカーナビに久兵衛市右衛門請新田と入れてみた。他の地名と比べて抜きん出て長い!
現在の唯一残る「久兵衛市右衛門請新田」に到着。
そこは栃山川の流域にある住宅街で、民家6軒分という非常に狭いエリアだ。
住民の女性に聞いてみると、長い地名だが「興味を持ってもらえて面白い」と前向きに捉えているようだ。
あなたの街にも長い地名があるだろうか?
地名を深掘りすると歴史が見えてくる。
静岡県内で一番長い地名は2人のビジネスパートナーが開墾した土地「久兵衛市右衛門請新田」だった。
(テレビ静岡)
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