富士山を表した鉄斎の「攀嶽全景図」(大和文華館提供)

「日本最後の文人」と呼ばれた画家、富岡鉄斎(1836~1924年)の画業をたどる特別企画展「没後100年富岡鉄斎-知の巨人の足跡」が、奈良市学園南の大和文華館で開かれている。同館の所蔵品を中心に約50件を展示し、文人的素養を生かし多彩な作品を生み出した創作活動を伝える。5月19日まで。

鉄斎は京都の法衣商の家に生まれ、和漢の古典を学んで、学者として身を立てながら書画の制作に取り組んだ。古くからの画題や故事などに着想を得て、人物画や山水画などを多く描いた。

展示品のうち、54歳のときの作品「攀嶽(はんがく)全景図」は、縦2メートル超の大画面に大きな火口や無数の岩で構成された富士山を表している。実際に富士山に登った際に受けた印象が反映されているという。

晩年の「山荘風雨図」はどんなときも学問に没頭しようとする鉄斎の意志が、「寿老図」は長寿に対する鉄斎の心境がうかがえる。

また、鉄斎は親しかった松山市の近藤家から海産物をもらった礼に描いた書画も多く、大和文華館の都甲さやか学芸員は「鉄斎は厳格な学者で難しいイメージがあるが、親しみやすい作品も多く、温かさが感じられる」と話す。

月曜は休館。ただし4月29日と5月6日は開館し、4月30日と5月7日は休み。入館料は一般630円、高校・大学生420円、小・中学生無料。問い合わせは大和文華館(0742・45・0544)。

長寿を授ける寿老人を描いた「寿老図」(同)

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