伊豆箱根鉄道駿豆線(三島―修善寺)は18日から全線でクレジットカードやデビットカードのタッチ決済で乗車できるようになった。ただし、交通系ICカードは使えないままだ。同じ伊豆箱根鉄道でも大雄山線(小田原―大雄山)は交通系カードが利用できてクレジットカードは利用できない。正反対の状況が生まれた背景には、JR東日本とJR東海をまたぐと交通系カードが使えないという事情があったという。
鉄道でのタッチ決済導入は県内初
駿豆線での導入は、キャッシュレス決済拡大への対応と、増加する外国人客を含めた利用者の利便性向上が理由。三井住友カードなどが提供するシステムが使われ、タッチ決済に対応したカードならば他社発行のカードや海外で発行されたカードでも利用できる。
県内では一部のバスが既に導入し、全国では108事業者に広がる。鉄道での導入は県内初で、遠州鉄道では2025年3月から全線で利用できるようになる。
JR東日本の小田原駅、JR東海の三島駅
伊豆箱根鉄道は大雄山線も駿豆線も地元住民の他、首都圏からの観光客の利用が多い。大雄山線はJR東日本の小田原駅が乗換駅のため、首都圏から交通系カードでそのまま乗車できる。一方、駿豆線の乗換駅はJR東海の三島駅なので、仮に駿豆線を交通系カードで乗車可能にしても、JR東日本からまたいでの利用となるため、三島駅で一度精算する必要がある。
タッチ決済の導入を控えた16日、伊豆箱根鉄道三島駅で伍堂文康社長が自らチラシを配ってPRした。伍堂社長は「今までお客様には現金で切符を買っていただいていたが、不便が少し解消される。増加しているインバウンドのお客様もシームレスに利用していただける」と述べた。一方、交通系カードを見送ったことについては「検討したが、JR東日本から来るお客様がそのままでは使えない状況に変わりない。全般的な機能面や費用面を勘案した。熟慮の結果だ」と説明した。【石川宏】
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