愛知県弥富市では、児童数の減少により小学校4校の統合が予定されていますが、その予定地を巡って議論を呼んでいます。
■4つの小学校を1つに…「安全性」を巡り議論
弥富市内の小学校区は全部で8つあります。市はこのうち、1学年1クラスとなっている4つの小学校を、2028年4月に1つの学校に統合する再編整備の計画を進めています。
この記事の画像(21枚)統合予定地が十四山西部(じゅうしやませいぶ)小学校ですが、その場所の安全性について、市議会で議論になっています。
横井克典弥富市議(12月11日):
市として、保護者に安全性は理解されているのかどうか、どう認識してみえます?
安藤正明弥富市長:
対策にあたっているということを、保護者の皆さまにも丁寧にお伝えしてまいりたい。
統合される学区に孫2人が通っているという男性は、市の予定地に反対しています。不安の種は「水の危険」です。
反対派の住人:
せっかく統合して子供たちを送り出すものとしては、安心・安全を一番大事に行政には考えていただきたいと思うなかで、これではとても安心・安全が担保できないんじゃないか。
■予定地は海抜マイナス1.9m…住人「少しでも安全な所に」
1959年の伊勢湾台風で、ほとんどが海抜0メートル地帯の弥富市では、堤防が決壊して300人を超す死者・行方不明者が出るなど、甚大な被害を受けました。
現状の予定地は、統合される4校で最も低い海抜マイナス1.9mです。市は、かさ上げをして新校舎を造る計画を立てていますが、既存の校舎も特別教室として残す方針です。
反対派の住人:
あえてなぜ一番低い所に子供たちを送り込まないといけないのかと、単純な疑問なんですよね。少しでも安全な所に校舎を作っていただければ。
男性ら保護者の有志は2024年11月、閉校予定で地盤がかさ上げ済みの十四山中学校跡地での新設を求める3300筆あまりの署名と請願書を、議長あてに提出しました。
■安全性だけでない面も…“少なすぎる弊害”や“財政面”
保護者の間で意見は分かれています。学区のひとつで4人の子を育てる男性は、「なるべく早く」と話します。それには理由がありました。
賛成派の住民:
なるべく早くやれて、現状苦しんでいる子供たちを助けてあげられる(市の計画の)十四山西部小案でいいんじゃないかと。昔はある程度少ない人数だったら、先生たちも目が届く範囲がしっかりとあるのでいいなと思ったんですけど、少なすぎる弊害の方がかなり多くなってきていると保護者も感じている。
統合される4校はいずれも、3年後には全校児童が100人未満となる見通しです。複式学級制がとられ、児童の学びの場が大きく変わる可能性があるためです。
さらに市教委によると、仮に十四山中学校跡地に校舎を新設すれば、4年後の開校に間に合わないうえ、費用も倍近くになると想定されています。
賛成派の住民:
ある一定の安全性を担保された中で、なるべく早く子供たちを助けてあげたい。(ハード面だけではなく教育の)本質であるソフトの部分にもっとお金をかけてほしい。
市教委は、財政面や児童の住んでいる場所など、総合的に判断して予定地を選んだとしたうえで、次のように説明します。
弥富市教委教育部の渡辺一弘部長:
今回新しく造る3階建ての校舎に、全ての子供たちに安全に学んでいただけるよう、普通教室は全部そちらの校舎に集めてあります。引き続き、市民の皆さまに説明をしてまいります。
十四山西部小学校での計画を盛り込んだ条例改正案は、12月23日の議会で採決されます。
(東海テレビ)
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