ことしのGWの京都は、円安で増え続ける外国人観光客に加え、円安で海外旅行を避けた国内旅行客が加わり、大混雑しています。オーバーツーリズムに悩む京都市は、あの手・この手の対策を打っていますが効果は出ているのでしょうか?

3日午前のJR京都駅前は人であふれていました。

【記者リポート】「午前10時の京都駅です、混雑のピークを迎え、清水寺に向かうバス乗り場はものすごい行列ができています」

ゴールデンウィークは後半に突入しJR京都駅のバス乗り場には並ぶ人がずらり。

【観光客は】「5本の指に入る観光地なので仕方ないかな(Q.息子さん大丈夫ですか?)Youtube見ているから…」
【観光客は】「きょう1日これで終わるのかな」


この混雑、京都市民にとっても影響があるようです。

【京都市民は】「乗れないですよね、バス。2キロくらいなら歩く方が早い」

バスに乗り込むまでどれくらい時間がかかるのでしょうか。
外国人観光客の男性2人が並び始めました、男性2人はゆっくりではあるものの、確実に前に進んでいます。座ることはできませんでしたがバスに乗れました、待ち時間は…

【記者リポート】「さきほどの観光客の方、並び始めて4分強で乗ることができました」

実は、京都市では観光客の増加を見越してGWの期間中はピーク時間帯である午前中に市バスの便を増やし、3~4分間隔で運行をしているのです。しかし、多くのバスが走行していることも影響してか道路は大混雑。

【タクシー運転手は】「想像よりひどい、道路も混み混みですね」
【観光客は】「こんなに並ぶと思わなかったです」

この状況に京都で打ち出された秘策もあるんです。
それが乗り合いタクシー。

「待ち時間なくスムーズに観光地へ行きたい!」

そんなニーズにも応えられるよう、バス停のすぐ近くには、乗り合いタクシーのサービスが。これはGW期間限定の取り組みで、京都駅から観光地・高台寺までの直通タクシーに最大で9人が、1人800円で乗ることができます。


【タクシー運転手は】「値段が定額制なんで乗りやすいかなと思います。『安心して乗れました』とお声はいただきました」

乗り合いタクシーを知らずにバス停で並んでいた人は…

【観光客は】「こんなに並ぶと思わなかった、アプリとかで分かれば便利、情報探すのに苦労するので」

熊本県から観光に来た女性、京都駅から乗り合いタクシーに乗車しました。

【観光客は】「案内所に聞いて、タクシーがあるという事で利用させてもらおうと思いました。おうちで過ごされる方が多いと聞いてたので…めっちゃ人が多い、それで人に酔ってしまう」

何分かかるか図ってみると…、「高台寺・東山シャトル」市バスにのった場合の京都駅から高台寺近くの停留所までの所要時間は混雑の影響もあり25分ほどかかっていました。

【記者リポート】「途中の停留所ではバスの前に人がいますが乗り込みません」

一方、ゆったり座って移動中の乗り合いタクシーの女性。

【タクシー利用客は】「乗り心地はいいですね、ふわ~って乗れて、とても楽にのれてます。立つのはしんどい年になってきたので、これは最高です」

かかった時間は15分半、すごくスムーズでした。料金は大人1人800円、市バスの230円よりちょっと高いですが、目的地の目の前に到着。

【タクシー利用客は】「速かったですね、とても楽に乗れて助かりました、ありがとうございました!」


ゴールデンウィーク期間限定の取り組みはさらにもう一つ。

【記者リポ―ト】「交通局の職員がバス停で観光客に何か紙を渡しています」

【係員】「京都駅へお越しのお客さま、ただいま地下鉄の無料振替を行っております」

バスの乗客へ呼びかけているのは、地下鉄への振替輸送です。何人かの乗客がバスを降りて、乗り換え用の券を受け取り歩き出しました。

例えば、人気の観光地・平安神宮から京都駅まで帰るには、市バスの5号系統などがありますが、河原町通や烏丸通などの繁華街を通るため、かなり混雑する上に少なくとも30分はかかります。

そこで、平安神宮から乗ったバスを東山三条のバス停で降り、東山駅で地下鉄東西線に乗車します。烏丸御池で烏丸線に乗り換えれば、あとは京都駅へまっすぐ南下。

このサービスの対象は京都駅へ向かう4つの系統のバスで、バスを降りるときに大人は230円、こどもは120円を払えば、地下鉄の無料券振替券がもらえます。混雑具合にはよるものの、バスより10分以上早く着くこともあります。


【観光客】「こっちの方が早いかなと思って(降りた)。ありがたいと思います」
【観光客】「中がぎゅうぎゅう詰めやし、すいすい動いている感じじゃなかったので(バスを降りた)」「バス代だけで(地下鉄に)いけるというのでじゃあ降りよかと」
「これがなかったら降りてないよね」

振り替え輸送は、観光を終えて疲れて帰る人たちからは好評でした。

さまざまな工夫で乗り越えようとする京都市のオーバーツーリズム対策。「対策がどのように効果があったのか今後、検証していきたい」ということです。

京都大学大学院の藤井聡教授は問題解決の1つのカギは「観光税」だと指摘しました。

【京都大学大学院の藤井聡教授】「観光税は実際、ベネチアでも導入されていますけれども、 何がいいかというと、京都に来られる観光客の皆さまから税金を取ることです。そうすると、すごく混んでるけれども値段が高くなる、ということで需要が減って混雑緩和になるということです。その一方で、その得られた税収で観光客の皆さまへのサービス向上の取り組みもできます。観光税は学問的には昔から言われてることで、オーバーツーリズムが緩和されますし、その対策費も捻出できるので、ダブルで意味がありますから、是非考えてみてはどうかと思います」


(関西テレビ「newsランナー」5月3日放送)

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