Q 具体的に何を委任できるのですか
A まずは死亡の連絡ですね。あらかじめ連絡してほしい相手を伝えておきましょう。死亡時に入院していれば病院費用の清算、施設に入所していれば施設費用の清算があります
Q 役所での手続きもありますよね
A 死亡届は併せて任意後見契約をする必要がありますが、健康保険証の返還手続きや住民税などの清算、年金の手続きなどは死後事務委任契約でできます。電気やガス、水道といったインフラの解約・清算や、クレジットカードの解約や未払い分の支払いもあります
Q 葬儀関係も依頼できますか
A 葬儀・埋葬は、場所や方法などを指定して依頼できます。依頼先に葬儀の喪主になってくれるようお願いすることも可能です。住居の遺品整理・処分や家賃の清算も、大きな依頼内容になります
Q 委任できることはかなり多いですね
A 残されたペットを生前に頼んだ人に引き渡したり、パソコンやスマートフォンのデータを抹消したり、SNSやメールのアカウントを削除したりすることも依頼できます。死亡直後の対応も範疇(はんちゅう)で、私自身、依頼者の死亡時に病院から連絡を受け、病院に駆けつけて葬儀社の手配や病室の私物処理をしたことがあります
Q 逆に何を依頼できないのですか
A 「すべての財産を長男に渡す」といった相続に関すること、「〇〇を認知する」といった身分に関することは依頼できません。これらは遺言で残しておきましょう。遺言と死後事務委任契約はセットで依頼するケースが多いです。また、「友人との仲直り」など、現実的に難しいことはできません
Q それはそうですね
A 死後事務委任契約は死後に有効になるので、病院の入院手続きなど、生きている間の問題には対応できません。これらには、また別の契約が必要です
(回答者 司法書士 庄田和樹)
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