遺伝子改変したブタの腎臓を人間の患者に移植する手術の様子=2024年3月(マサチューセッツ総合病院提供)

 米東部のマサチューセッツ総合病院は11日、今年3月に世界で初めて遺伝子を改変したブタの腎臓の移植手術を受けた男性(62)が死亡したと発表した。病院側は死因について「移植とは関係ない」としている。

 男性は長年にわたり2型糖尿病と高血圧を抱え、2018年にはヒトのドナーから腎臓移植を受けた。その後、移植した腎臓が機能不全となり人工透析を再開し、合併症などで入退院を繰り返していた。

 24年3月半ばに、拒絶反応が起こりにくくなるように遺伝子を改変したブタの腎臓の移植手術を受け、およそ2週間後に退院。外来で通院を続けていた。

 腎臓を含む臓器移植を巡っては、世界的なドナー不足が大きな課題となっている。医療チームは声明で「深い悲しみ」を伝え、「世界中の数え切れないほどの患者にとって希望の光として永遠に語り継がれるだろう」とした。

 家族は病院を通じて発表したコメントで「『異種移植』を主導した彼ら(医療チーム)のおかげで、私たち家族は7週間長く一緒にいることができた。その間にできた思い出は私たちの心の中に残り続ける」と記した。【ニューヨーク八田浩輔】

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