薪御能=奈良市の興福寺で2024年5月17日午後8時22分、稲生陽撮影
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 古都に夏の訪れを告げる伝統行事「薪御能(たきぎおのう)」が17日、奈良市の春日大社などで始まった。観世(かんぜ)、金春(こんぱる)、宝生(ほうしょう)、金剛の四座の能と大蔵流狂言が競演。初夏の夕闇の中、揺らめく炎に幽玄の世界が浮かび上がり、詰めかけた観客らが堪能した。18日まで。

 行事は平安時代の869(貞観11)年に興福寺の修二会(しゅにえ)で舞われた薪猿楽が起源とされ、その後全国に薪能として広まったという。

 17日夕から興福寺南大門跡であった「南大門の儀」では、観世流の能「歌占(うたうら)」や金剛流の「融」などが演じられた。

 行事はコロナ禍の2020~22年は中止や人数制限を余儀なくされたが、23年から復活。今回はスマートフォンで専用サイトにアクセスすれば演目の解説を無料で聞ける新たな取り組みなども始めた。【稲生陽】

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