奈良市の唐招提寺で19日、ハート形のうちわ「宝扇(ほうせん)」を授ける恒例の「うちわまき」があった。僧侶が「鼓楼(ころう)」(国宝)から鐘の音に合わせて手作りした約200本をまくと、訪れた参拝者らが手を伸ばして受け止めた。
約770年続く伝統行事「中興忌梵網会(ちゅうこうきぼんもうえ)」の一環で、同寺の中興の祖・覚盛(かくじょう)上人の命日に営んでいる。不殺生の戒律を守り、蚊すら殺さなかった上人の遺徳をしのび、せめて蚊をあおいで払いたいとうちわが供えられたのが始まりという。
この日は新型コロナウイルス禍で中止や対象者を制限した時期も含め、5年ぶりに一般の参拝者らが参加した。早朝の午前6時半から並んだという奈良県大和郡山市の松本真悠さん(40)は長男の小学4年、和敏さん(9)と臨んだ。「昨年は雨で中止されたので、参加できてよかった。空に一斉にうちわが舞うのがきれいだった」と話した。【稲生陽】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。