福岡市中央区天神を走行していたタクシーが、青信号の交差点を直進しようとした際に、信号無視してきた車と衝突した。事故を起こした車は、屋根には赤色灯がついていたことから“覆面パトカー”かと思いきや、偽物だったことが判明。警察によると、事故直前にはサイレンを鳴らしながら、マイクで「交差点に進入します」と呼びかけまでしていたという。
「うわーっ!」カメラが捉えた衝突事故の瞬間
2月17日午前1時半頃、福岡市の繁華街・天神を走るタクシーのドライブレコーダー映像。
タクシーに乗客が乗り込んできた。
乗客:
グリーンホテル。
運転手:
駅前、はい。出発します。
乗客:
やった、ニュープリウスや。乗ってみたかったんですよ。
運転手:
(納車に)1年かかったですね。
乗客:
あ、そんなにですか。
和やかな会話が続く車内。だが、青信号の交差点を直進しようとしたその時だった。信号無視してきた車と衝突。激しい衝突音と車内には「うわーっ!」という乗客の声が響いた。衝突した車をよく見ると、屋根に赤色灯が光っていた。
衝突直後、車内には「緊急通報を開始しました。ヘルプネット(緊急通報サービス)に接続しています」という自動音声が流れ、通報会社につながった。
通報会社:
ヘルプネットです。事故ですか?
運転手:
事故です。
通報会社:
救急車は必要ですか?
運転手:
救急車はわかりません。
通報会社:
事故の相手は乗用車ですか?
運転手:
えっと、パトカーだったと思います。
通報会社:
パトカー?
運転手:
はい。
通報会社:
パトカーですか?
運転手:
パトカーです。
4車線の直進レーンを走っていたタクシーは、右から赤信号を直進してきた覆面パトカーらしき車と衝突。
事故に遭ったタクシーの乗客:
もう本当に何が起こったか分からなかったですね。“パトカー”もタクシーと当たって、結構回転しながら反対車線の方に飛んでいってるんですよ。
パトカーらしき車は、ぶつかった衝撃で180度回転しながら反対車線まで飛ばされていったという。
タクシーは、ボンネットがめくり上がるほど大破。パトカーらしき車も、側面が大きくへこむほどの衝撃を受けていた。しかし……。
事故に遭ったタクシーの乗客:
全然車(“覆面パトカー”)から降りてこなくて。5分ぐらいは出てこなかったんじゃないですかね。(周りの人から)「お前ら警察官の前に人としてどうかしてるやろ」ってだいぶ言われてて。
容疑者2人は“パトカーマニア”
その後、現場に駆け付けた警察官から聞かされたのは、驚きの事実だった。
運転手:
あの人たち警察官ですか?
警察官:
違いますね。警察のまねをしている一般人です。
運転手:
えっ?
事故を起こしたのは、偽物の覆面パトカーだった。警察によると、事故直前には、走行中にサイレンを鳴らしながら、マイクで「交差点に進入します」と呼びかけまでしていたという。
この事故で、個人タクシーの運転手は約400万円かけて購入した新車をわずか1カ月で廃車にしたうえ、3カ月たった今も、むち打ちや捻挫などで治療中だという。
5月8日、警察は、覆面パトカーを装った車を運転していた本村陸容疑者(24)と、助手席に乗っていた仰木康汰容疑者(25)を危険運転致傷の疑いで逮捕した。
事故当時、「警察の職務質問を見物するためにパトカーを追いかけていた」と供述していた2人の容疑者は、パトカーマニアだったという。車に詳しい、「ベストカーWeb」の塩川雅人編集長は、「赤色灯とかサイレンとか、そういう装備をつけて、実際にそれを公道で使ってしまう。れっきりとした犯罪行為ですし、事故を起こさなければよかったという話でもなくて、一線を越えちゃったなと感じました」と話す。
行き過ぎたというマニアの行為。一歩間違えれば……。
事故に遭ったタクシーの乗客:
タクシーがもうちょい早かったら、もしかしたら死んでる可能性もなくはない。
(「Mr.サンデー」5月19日放送より)
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