石川県の能登半島地震復旧・復興本部会議(20日午後、石川県庁)=共同

石川県は20日、能登半島地震復旧・復興本部会議を開き、復興計画案をまとめた。人口減加速による地域の衰退を防ぐため、都市と地方を行き来する2地域居住などを推進して地域の活力を向上させる。2032年度末までの9年間で、災害に強いインフラ整備、なりわいやコミュニティーの再建、被災者への生活支援に取り組むことが柱。6月に決定する。

計画案は、半島では地震前から人口減や高齢化が進んでいたと指摘し「被災前への復元ではなく、未来志向で良い状態へ持っていく創造的復興が必要」と強調。馳浩知事は会議で「住民や専門家の意見を集約して作った。能登の皆さんに安心感を届けるために施策を進める」と述べた。

2地域居住は、平日は都市部で暮らす人が、休日には能登で復興活動に携わるといった生活を想定。推進に向けた具体策の検討に入る。

インフラ面では、道路や上下水道などの本格復旧を28年度中に完了。今回の地震では道路寸断による集落孤立が多数発生したため、半島を通る幹線道路や沿岸を周回する道路の整備も進める。

被災した事業者復旧のため、県は独自の補助制度を創設。輪島塗など伝統的工芸品の仮設工房を25年度末までに開設し、早期の製造再開を目指す。農業の担い手不足解消へ、地域外の企業などの参入を促す仕組みも検討する。

被災者の心身不調などの相談に乗る「石川こころのケアセンター」を設置。仮設住宅入居者らを訪問して一人一人に寄り添った心のケアに力を入れる。コミュニティーの再建に欠かせない祭り継承のための費用もサポートする。

能登半島の観光業再生では、国と連携した手厚い支援策を25年度にかけて展開。地震で隆起した沿岸部の周遊ルートを「能登半島絶景海道」と命名し、観光客呼び込みを模索する。隆起海岸などの震災遺構の保存・活用も検討。能登の豊かな自然に触れる歩道の整備も進める。〔共同〕

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