核融合発電の実用化に向けた戦略について説明するフュージョンエネルギー産業協議会の小西哲之会長(中央)ら=東京都港区のオークラ東京で2024年5月21日午後3時33分、田中泰義撮影

 「地上の太陽」とも呼ばれる核融合発電の事業化を目指す「フュージョンエネルギー産業協議会」が設立され、21日、東京都内で記者会見した。協議会にはメーカーや商社、金融など産学50団体が参加。参加団体間の連携を図るとともに、国内外の動向調査や安全規制を含む国への政策提言に取り組み、国際競争力の強化を図る。

 核融合は太陽内部で起きている反応で、発電時に二酸化炭素を排出しないうえ、理論上、わずかな燃料から膨大なエネルギーが得られる。日本を含む各国政府はフランス南部で国際熱核融合実験炉「ITER」の建設を進めてきた。

 一方で、エネルギー安全保障を揺るがす国際情勢を背景に近年、核融合に対する投資家らの関心が高まり、海外では2030年代の実現を目指す企業も登場している。そこで、日本の産業界も連携して実用化を目指すことになった。

 設立は3月29日付で、会長に京都大発ベンチャー「京都フュージョニアリング」の小西哲之社長が就任。副会長に住友商事の北島誠二執行役員とヘリカルフュージョンの田口昂哉最高経営責任者(CEO)が就いた。

 小西会長は「研究成果を社会に届けるためには、多様な業種が関わらなければならない。この分野の主役は民間に移った。新たな産業に育てていきたい」と語った。【田中泰義】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。