来週、世界の学生たちが火星探査機の開発を競う大会がアメリカで開かれます。この世界大会に、東北大学や慶應大学の学生を中心としたチームが日本から初めて出場します。火星探査機の開発に挑む学生たちの壮大な挑戦です。
世界大会を目前に東北大学青葉山キャンパスにメンバーが集まっていました。
チームリーダー(東北大院・博士1) 阿依ダニシさん
「配線の調子が悪くて、それが大丈夫かを調整している最中です。あとはタイヤの締めが若干良くなくて、それを調整しているところ」
日本初の、学生による火星探査機の開発チーム、「ARES Project(アレスプロジェクト)」。火星探査機の開発を競う学生の世界大会「Univercity Rover Challenge」(URC)に出場します。
世界大会は、日本時間の5月30日から6月2日、アメリカ・ユタ州で開かれます。予選には15ヵ国から102チームがエントリー。書類や動画による審査を勝ち抜き、36チームで行われる世界大会本選への出場をつかみ取りました。
18年間の大会の歴史で日本からの本選出場は今回が初めて。去年は予選で敗退したため、1年越しのリベンジを果たした形です。
東北大工学部2年 中山暁陽さん
「自分が作っている機体でもあるので、やっと認められたんだなという感じがして、すごくうれしかった」
「ARES Project」には、東北大学と慶應大学を中心に40人の学生が所属しています。世界大会出場という目標を掲げながら、火星探査機を使って海岸清掃をするなど、「培った技術を地球に還元していくこと」も大切にしてきたといいます。
東北大工学部3年 野末萌菜子さん
「日本では宇宙開発が海外に比べて活発でなかったり、学生の宇宙開発に支援するような大人も少ないので、宇宙開発の面白さを広めようというの、社会に貢献しようってことで行っています」
普段は離れた場所にいるメンバーたち。打ち合わせはリモートで行い、2カ月に1回から2回、合同の開発合宿で顔を合わせます。東北チームが機体、東京チームがアームと役割を分担して開発を進めています。
東京のメンバー
「合宿のたびに東京のメンバーは、車で5時間くらいかけてここまで来ています」
Q.大変じゃないですか?来るの
「大変ですね(笑)真夜中に出発して、早朝についたみたいな感じ」
この日は大会前最後の合宿。作業は大詰めです。
「いいですねまっすぐだ」
「何度戻すように設定した?」
「1度です」
「こないだ1度でダメで、何できょう(笑)よくわかんないね」
試行錯誤しながら、細かい調整を行っていきます。
東北大工学部2年 中山暁陽さん
「きのう徹夜して作ったモジュールだったので、うまく動くかなっていうので、若干微調整が必要かなっていうのがわかって、きょうまたやるかなって感じ」
ここで、メンバーたちが移動を始めたのですが…。
チームリーダー(東北大院・博士1) 阿依ダニシさん
「今から火星に行ってローバーのテストをしてこようと思います」
火星!?どういうことですか!?
チームリーダー(東北大院・博士1) 阿依ダニシさん
「東北大学の学生寮の前にある砂地で、赤土で火星にすごくそっくりで。いつも『火星行く?』みたいな感じで、『火星』に行ってやってます。けっこう火星なんですよ。思った以上に火星(笑)」
ここが「火星」!確かに!「火星」ですね~
「火星」での走行試験は、世界大会を想定したまさに最終確認。部品や設計のアップデートを重ねた7号機です。世界大会もアメリカ・ユタ州の砂漠のような場所が使われます。それだけに、この「火星」でのテストは重要です。
この日は、アームなどを取り付けない状態で問題なく走行できることを確認できましたが、リーダーの阿依さんは、翌日のテストや世界大会での課題も見すえて緊張した表情ものぞかせました。
チームリーダー(東北大院・博士1) 阿依ダニシさん
「機体もレベルアップして、障害物もらくらく乗り越えるようにはなったんですけど、まだまだアームも取り付けて遠隔で動かすっていうのもやりたいですし…」
「ARESProject」は、学生世界大会に日本から初めての出場を目指して3人でスタートしたといいます。今、メンバーは40人。力を合わせて夢の舞台に臨みます。
チームリーダー(東北大院・博士1) 阿依ダニシさん
「例えばトップ10に入るとか、初出場のチームなのにすごいなと言わせるような、実力はあるんだと、今後さらに成長するから皆期待して待っとけと言えるような成果を残したいというのが、今回の目標です」
さらに、その先も見据えています。
ARESProjectチームリーダー阿依ダニシさん(25)
「これ自身が将来の日本の宇宙開発やものづくりのボトムアップに繋がってくれればいい」
火星探査機に夢を乗せて…。
学生たちの壮大な挑戦が続いています。
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