十二ひとえを着て斎王まつりをPRする三田空来さん=県庁で2024年5月13日午後1時25分、下村恵美撮影
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 平安時代に天皇に代わって伊勢神宮に仕えた皇女「斎王」の行列を再現する三重県明和町の「斎王まつり」が6月1日に迫った。斎王役の三田空来(さんだそら)さん(20)は伊勢市出身で東京大の学生。小学生の時に町内に住む父方の祖父母に連れられて見たという憧れの「お姫様」役を務める。「きっかけを作ってくれた祖父母に恩返しができる」と晴れ舞台を心待ちにしている。

 三田さんは県立伊勢高校から1年浪人して東大文科2類に合格。斎王役には18歳から応募できるが、受験や進学と重なり、ようやく夢がかなった。3月に斎王役が決まった際には「祖父母が大学に合格した時より喜んでくれた」と笑う。当日は、源氏物語に登場する斎王は知っていても斎王まつりのことは知らなかったという大学の友人たちも駆けつける。

小学生のころ「千早」として斎王まつりに参加した三田空来さん(左端)=斎王まつり実行委員会提供
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 もちろん斎王は初めての三田さんだが、実はまつりへの参加は4回目。小学生の時に「千早」などの役で3回出演した。当時は「葱華輦(そうかれん)」という輿(こし)に乗った斎王の前をゆっくり歩く行列の一員。「長い距離を歩いて足が痛いし、暑かった」と振り返る。だが、間近でみやびな衣装を着て笑顔を絶やさない斎王を見て憧れが募ったという。

 射止めた斎王役の準備の大変さは想像以上。斎王が着る十二ひとえに袖を通すと重さによろめいた。カツラを含めると20キロ以上にもなるという。さらに所作指導では指先まで気を配ることが求められた。十二ひとえで立ち居振る舞いをするためには「体幹がしっかりしていないとふらついてしまう」と考え、ジム通いを始めた。足を鍛えるトレーニングや所作の自主練習に取り組む日々を送っている。

 当日に向けた準備は順調。三田さんは「暑いのは困るけど、晴れてほしい」と天気に気をもみつつ、祖父母や友人に「晴れ姿」を見せたいと願っている。【下村恵美】

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