千葉県柏市の水路から、有害性が指摘され、泡消火剤などに含まれている有機フッ素化合物「PFOS」「PFOA」が国の暫定指針値(合算で1リットル当たり50ナノグラム)を上回って検出された問題で、鎌ケ谷市は24日、この水路に近い井戸から、最大で暫定指針値の240倍にあたる1リットル当たり1万2000ナノグラムが検出されたと発表した。
市は4月、この水路から半径200メートルの範囲にある同市軽井沢地区の井戸17カ所の水質を調査。その結果、7カ所から暫定指針値を大きく上回る、同130~1万2000ナノグラムが検出された。一部の井戸の水は飲用としても使われていた。
現時点で健康被害は確認されていないというが、市は飲むことを控えるよう指導している。今後、暫定指針値を超過した井戸から200メートルの範囲にある他の井戸も追加で調査する方針。市の担当者は「思っていたよりも値が大きくて驚いている。ほかの井戸も調べていきたい」としている。
一方、柏市は23日、検出された水路から200メートルの範囲にある井戸84カ所を調査したところ、18カ所から同65~1500ナノグラムが検出されたと発表した。今後、暫定指針値を上回る数値が検出された井戸からさらに200メートルの範囲の井戸を調べ、汚染の状況や発生源の特定を進めるとしている。
柏保健所によると、PFOSとPFOAには発がん性が指摘されている。防衛省は、暫定指針値を上回る濃度が検出された人工河川「金山落(かなやまおとし)」の上流にある海上自衛隊下総航空基地が2020年3月末時点でPFOSを含む消火薬剤5140リットルを保有していたことを公表している。
この問題を巡っては、県と柏市が3月に実施した金山落と周辺の水路の水質検査の結果、柏、白井市の計7地点から、暫定指針値を1・16~36倍上回る濃度が検出されている。【柴田智弘】
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