公正取引委員会は28日、2023年度の独占禁止法違反の処理状況を発表した。優越的地位の乱用に該当する恐れがある行為への注意は前年度比12件増の67件で、09年度以降最多となった。公取委は「インボイス制度の実施に関連した行為が多く見られた」としている。
23年10月に始まった同制度は、仕入れ時に支払った消費税分を納税額から控除するために仕入れ先からインボイス(適格請求書)を受け取ることが求められている。インボイスを発行できない免税事業者との取引では企業が控除を受けられず、取引先に値下げを強要するといった問題が生じる可能性が指摘されていた。
公取委によると、67件のうち40件がインボイス制度関連だった。
農産物加工品の製造販売企業が取引先の農家に対して、インボイスを発行できる課税事業者にならず、免税事業者のままだった場合は消費税相当額を取引価格から引き下げると一方的に通告した事例などがあったという。
違反企業に再発防止などを義務付ける排除措置命令は4件で前年度から4件減った。事業者側が自主的な改善計画をまとめ、公取委が認定する確約手続きに基づく処分は5件で、18年の制度導入以降で2番目に多かった。
課徴金納付命令は16事業者を対象に総額2億2340万円となり、06年に課徴金減免(リーニエンシー)制度が始まって以来、最低額となった。同制度に基づく申告件数は前年度比7倍の156件で最多となった。
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