ジャーナリストの池上彰さんや経済評論家の森永卓郎さんなど、有名人・著名人をかたってSNSで投資を勧誘する詐欺が問題になる中、国民生活センターは29日、関連する相談件数が急増していると発表し、注意喚起した。
国民生活センターによると、著名人をかたる金融商品・サービスの相談件数は2022年度は170件だったが、2023年度には1629件と約9.6倍に急増したという。また購入金額も2022年度の234万円から、2023年度には687万円と高額化している。
相談件数を月別にみても、2023年は4月が25件だったが、9月には110件になり、2024年に入ると1月267件、2月255件、3月304件と、急激に増加している。
60歳代の女性からの相談では、母から相続した資産で投資しようと考えていたところ、有名経済評論家が主催する投資相談のSNS広告が表示され、そこには100万円が1億円になったとの体験談が掲載されていたという。興味をもってメッセージアプリへ登録したところ、有名経済評論家のアシスタントを名乗る人物からメッセージが届き、「海外株が短期で値上がりする」などの投資話を持ちかけられたそうだ。信用して総額1500万円を指定する口座に振り込んだところ、6000万円の利益が出たと言われたが、出金手数料900万円と海外市場への税金1300万円が必要だと言われたという。
また50歳代の男性の場合、SNSに有名投資家の姪を名乗る海外の女性からメッセージが届き、「絶対に負けない投資家を知っていて自分も投資で儲かったので、あなたも儲けてほしい」との言葉を信じてFX投資のアプリをダウンロードして総額200万円を投資したところ、アプリ内の口座残高が1300万円になったという。利益が出て喜んでいたら、「不正な行為があった可能性がある」と言われて口座が凍結され、解除には270万円必要だと言われたので振り込んだが、その後女性と連絡が取れなくなった。
国民生活センターは、「無断で著名人の写真や氏名を使用した勧誘が横行している」とした上で、SNS上での広告について、広告審査が十分に機能しているとは評価できないため、「自衛する必要がある」としている。
その上で、SNSで勧誘を受けた場合は「まず疑ってみる」よう呼びかけている。
投資として振り込むために、被害額が高額になりやすいという特徴もあり、投資資金の振込先が個人名義の口座を指定された場合には詐欺だとして振り込まないようにとも呼びかけた。
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