名古屋地裁=名古屋市中区で、川瀬慎一朗撮影

 愛知県一宮市の民家で姉妹3人が絞殺された事件で、殺人罪に問われた3人の母親で無職、遠矢(とおや)姫華被告(29)に対する裁判員裁判の被告人質問が29日、名古屋地裁(吉田智宏裁判長)であった。遠矢被告はうつ状態で自分の行動を止められなかったとし、「子供たちに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と涙ながらに述べた。

 遠矢被告は長女を出産後、産後うつと診断され、その後も気分の浮き沈みがあったと説明。事件直前には献立が立てられなかったり、洗濯物をしまう場所が分からなくなったりしたという。「食欲がなく、あまり眠れなかった」とし、自殺願望があったことを明かした。

 事件当日は自殺を考え、普段は与えないファストフードのパンケーキを子供たちに食べさせていたという。その際、どこかから「子供たちを置いていくな」という声が聞こえ、その直後に犯行に及んだと証言。「現実感がなく、自分の行動を止められなかった」と話した。

 弁護人から3人について尋ねられると、「長女は妹思いで優しい子。次女は姉が好きで長女のマネをしてうれしそうにしていた。三女はよく笑う子だった」と振り返り、「(3人の存在が)喜びだった」と語った。【道下寛子】

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