6月1日で発生から5カ月となる能登半島地震で、大きな被害を受けた石川県内の上水道が5月末でほぼ復旧する見通しとなった。最大約11万戸に上った断水は28日時点で輪島、珠洲両市の計1900戸で続くが、土砂崩落などで早期復旧が困難な地区を除いて通水が完了する。
復旧困難地区では、県や市が復旧策を検討している。通水したエリアでも各住宅の配管が壊れて水が使えないケースがあり、修繕をどのように進めるかが課題となる。
能登半島では浄水場の機能が失われたり、地中に埋まる送水管が損傷したりする被害が相次いだ。国は当初3月末の復旧を目指したが、道路事情の悪さなどから漏水箇所の確認や修繕に時間を要し、さらに2カ月の遅れを余儀なくされた。
最も深刻なのは半島北部の珠洲市で、5月28日時点でも1090戸で断水している。全国自治体の応援職員のサポートを受け、復旧を順次進めてきた。
珠洲市で現場指揮に当たってきた名古屋市上下水道局の高倉俊夫水道計画課長は「長期派遣で本格復旧も支えたい」と述べ、応急復旧が完了後も支援を継続する考えを示した。
一方、珠洲市は、土砂災害による二次災害の恐れがある沿岸の一部集落を復旧困難と判断した。輪島市も、大規模火災に見舞われた「輪島朝市」地区や地滑りが起きたエリアなど計548戸は「復旧時期未定」としている。
輪島市門前町の山間部に位置する浦上地区は3月末までに「通水済み」とされたが、前田伸正さん宅ではその後も約2カ月、断水が続いた。自宅内の配管損傷による漏水が原因だった。
地元業者に連絡すると工事依頼が既に殺到しており、前田さんは「いつ工事してもらえるか分からず、途方に暮れた」。5月下旬、県南部の業者に修繕してもらい「ようやく一歩踏み出せる」と安堵した。
前田さんのように遠方の業者に依頼すると作業員の人件費やガソリン代などが余計にかかるため、県は5月、経費の補助制度を創設した。担当者は「住民の負担を少しでも軽くして復旧を推進したい」と強調した。
国土交通省によると、下水道も一部を除き復旧が進んでいる。〔共同〕
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