首相官邸で開かれた紅こうじ関連製品への対応に関する関係閣僚会合。左は林芳正官房長官=2024年5月31日午前8時55分、和田大典撮影

 政府は31日、小林製薬(大阪市)の紅こうじ成分入りサプリメントの機能性表示食品の問題を受けた対応方針を公表した。機能性表示食品の届け出事業者に対し、健康被害情報を確認した場合は報告を求め、怠れば営業停止にする。サプリ事業者には製造・品質管理に関する指針「GMP(適正製造規範)」に基づく製造管理を義務付けた。

 小林製薬は医師の診断による健康被害の把握から公表まで約2カ月を要したため、対応の遅れが問題視されていた。今後は、医師の診断を受けた健康被害を把握した場合、製品との因果関係が不明でも事業者には速やかに消費者庁や保健所などに報告することを義務付ける。事業者が報告を怠れば、食品衛生法に基づく営業禁止や停止の他、食品表示法に基づき機能性の表示をしないよう指示や命令を受ける。

 サプリメント事業者には、GMPを義務化した。事業者自ら自主的に点検する他、消費者庁が必要に応じて立ち入り検査する。GMPは原材料の受け入れから製造、製品の出荷と全ての工程に求められる。医薬品は義務付けられているが、機能性表示食品は推奨にとどめていた。紅こうじサプリの原料を製造した小林製薬の大阪工場はGMPを取得しておらず、義務化の対象は主に製造工場になるという。

 食品表示法の内閣府令や食品衛生法の厚生労働省令を改正して対応する。

 特定保健用食品(トクホ)についても健康被害の情報提供とGMPの義務化を今後の検討課題とした。

 対応方針を取りまとめた同日の関係閣僚会合後、自見英子消費者担当相は「機能性表示食品に関する消費者の信頼性を高めるべく、しっかりと取り組んでいきたい」と述べた。

 この問題では、これまでに死者5人、入院患者が284人に達している。【阿部絢美、肥沼直寛】

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