斜面の崩壊前、開聞岳の眺望も楽しめた砂湯里の砂むし温泉=2012年11月15日、鹿児島県指宿市提供

 2021年11月に近くの斜面が崩壊し、休業している鹿児島県指宿市営「山川砂むし温泉『砂湯里(さゆり)』」(同市山川福元)が10月にリニューアルオープンする見通しとなった。安全対策や設備の工事が完了するためで、隣接する露天風呂とを結ぶ遊歩道も利用できるようになる。

 砂湯里は開聞岳を眺めながら名物の砂むしを楽しめる人気スポットで、18年には8万人が利用した。しかし施設に隣接する斜面が幅50メートル、高さ30メートルにわたって崩れたため休業を余儀なくされた。

隣接する斜面が大規模に崩れた砂湯里=鹿児島県指宿市山川福元で2021年11月25日午後4時3分、指宿市提供

 市は復旧工事費約3億2600万円を国の100%補助でまかなう形で斜面の安全対策などを実施。新たに見つかったひび割れの対策に長さ4メートルの鉄筋112本を打ち込む作業などを経て、10月に営業を再開させる道筋をつけた。さらに隣接する露天の「たまて箱温泉」と行き来できる遊歩道も設けた。

 また市は利便性向上などのため、ふるさと納税を活用したクラウドファンディング(CF)で寄付金を募った。目標総額3000万円に対し、約2億8000万円が集まり、斜面上部に展望台を設ける計画を立てている。

 一方、リニューアルにあたり入浴料は値上げする。浴衣代別で大人730円、小学生以下360円を、浴衣代込み大人1100円、小学生以下600円にする。観光シーズンの12月25日~1月15日、4月27日~5月7日、8月5~20日を新たに「特別期間」に設定し上限価格で大人2200円、小学生以下1100円とする。

 市中心部の市営砂むし温泉「砂楽(さらく)」も10月、浴衣代別で大人990円、小学生以下490円を、浴衣代込み大人1500円、小学生以下800円とする。特別期間はそれぞれ上限3000円、1500円。

 両施設の値上げは19年10月に消費税アップに伴い10円ずつ値上げして以来。今回は大幅値上げとなるが、市は「施設老朽化に伴う設備更新や従業員の賃上げなどのためやむを得なかった」としている。【梅山崇】

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