飲酒運転で衝突事故を起こし、相手方にけがを負わせたとして危険運転致傷の罪に問われた元県立大学の教授の裁判で、16日、福井地裁は被告の男に懲役1年・執行猶予3年の判決を言い渡しました。
 
危険運転致傷の罪に問われたのは、越前市高瀬1丁目の元県立大学教授・中村匡被告(64)です。

判決文によりますと、中村被告は3年前、福井市内で飲酒後に乗用車を運転し、赤信号の交差点に進入して、対向車線に止まっていた軽乗用車に衝突しました。この事故で、軽乗用車の運転手に全治約2週間の全身打撲を負わせました。
 
裁判では、飲酒運転事故の事実に検察側と弁護側に争いはなく、争点は被告がアルコールの影響で正常な運転が困難な状態だったかどうかなどについてでした。
 
これまでの裁判では、事故後に中村被告の呼気から基準値の0.15ミリグラムを大きく上回る、0.54ミリグラムのアルコールが検知されたことが分かっています。
 
訴状によりますと、中村被告は2021年12月18日、福井市内の飲食店で赤ワイン1杯、ビール1杯を飲んだ後、自分の車を運転して約1.2キロ離れた別の飲食店に移動。その際、赤信号を無視したことが分かっています。被告は2軒目の飲食店でさらに生ビールなど4杯を飲み、再びハンドルを握って駐車場を出ようと車をバックさせたところ、後方の看板に衝突。しかし、そのまま運転を続け、事故の直前、道路中央寄りを走行して対向車にクラクションを鳴らされたり、一時停止が必要な交差点にそのまま侵入したりしていたことも分かっています。
 
16日の裁判で徳井隆一裁判官は、被告はアルコールの影響で正常な運転が困難な状態であったと認め、「赤色の信号表示を見落とすなどの運転態様は非常に危険。信号で停止していただけの被害者を負傷させた結果も軽視できない」としました。

ただ、前科がないことや、大学を懲戒解雇されて一定の社会的制裁を受けていることなどを考慮して、求刑の懲役1年に対し懲役1年・執行猶予3年の判決を言い渡しました。
 
一方で、被告はこれまでの裁判で事故の原因について、「普段から運転が荒く、事故原因は音楽の曲名が気になりカーステレオの方を見たことにある」などと供述。アルコールの影響により正常な運転ができなかったわけではなく、あくまで過失であると主張していました。弁護人は無罪を主張し、控訴する方針です。

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