【菓子】洋菓子ブランド「スイートオーケストラ」で知られる「わらく堂」(札幌)はモチモチ食感の伸びるチーズケーキ「おもっちーず」など、独創的な商品で人気を集めている。代表取締役の関根健右さんにどこにもない商品の開発への挑戦について聞きました。

一度、外に飛び出して分かった製菓業の魅力

――ご出身はどちらですか? どんな進路を進みましたか?
出身は札幌です。父の会社がお菓子を製造し、工場の上に自宅があり、大福を作ったり、お餅を作ったりするのを見ながら、過ごしていました。(製菓業とは)違う世界を見てみようと、広告代理店に勤めましたが、新しいことにチャレンジしたくて3年間で辞めました。うちの会社は札幌三越に常設店舗があったので、そこに入りました。実際に勤めてみたら、(楽しくて)もう辞められないなと思う状態になりました。

――実家の会社では、どういう仕事をされましたか?
菓子の製造工場が子どものときに比べ、稼動してないという認識がありました。電話帳を広げて、「菓子製造業のわらく堂です。うちのお菓子を見てもらえませんか」と電話して、商品を知っていただく営業を始めました。

――当時の主力商品は? 
(もともとは)大福、お団子など和菓子系でした。私が入社後すぐにスイートポテトを開発しました。スイートポテトは(製造に)手間がかかって、大手さんでも商品にしづらいので、それを主力に営業しました。

商品企画、顧客開拓を主導し、33歳で社長就任 

――売り上げは伸びていきましたか?
おかげさまで、札幌から道内、道外へと(販路が広がりました)。ローラー作戦を行い、全47都道府県の百貨店の物産展で販売しました。

――経営者に就いたきっかけは?
2002年にスイートポテトを販売するためにスイートオーケストラという洋菓子部門を立ち上げました。そこからスイートポテトを軸にしたホールケーキ「スイートオーケストラ」を商品化し、その後、チーズケーキバージョンも作りました。商品は私が企画し、お客さんも私が開拓しました、2007年に父親から「社長を早い段階で経験した方が良いのでは」と言われ、33歳で社長に就きました。

どこにもない商品の開発を お客さんの支持が一番の喜び

――社長就任後、どんな取り組みをされましたか?
オリジナル商品の展開を考え、お餅のように伸び、モチモチ食感でおいしいチーズケーキ「おもっちーず」を2011年に開発しました。物産展などでは大人気で行列ができるメーン商品に育てました。

――そのアイディアはどう思いついたのですか?
コンセプトは日本のチーズケーキです。モチモチのチーズケーキはどの世界にもないので、商品化を考えました。ただ、担当者にアイデアを伝えたら「何を言っているのだろう、この人は」という顔をされました。開発には8ヶ月ぐらいかけましたね。

――売れると確信して作った商品が実際に売れ、全国の方々に愛されています。
自分が考え、従業員の方々が苦労して開発し、愛情を込めて作っていただいた商品が、お客さんに支持されて、本当に感激しています。この仕事で一番楽しいところです。

コロナの逆風 将来を見越し、新たに業務用商材に参入

――大変だった時期もありましたか?
新型コロナウイルスが感染拡大したとき、物産展などのイベントがなくなりました。売り上げの4割を北海道物産展などのイベント販売が占めていましたが、(感染症の)長期化が見込まれ、早い段階の2020年3月時点で物産展部門は一時中断することを決めました。

――勇気のいる判断ですね。
物産展を中断する一方で、それまで扱っていなかったホテルさんとか飲食店さん向けの業務用商材を開発しました。コロナ感染が収束した今、新たな売り上げとなっており、挑戦は良い経験になりました。

――今、力を入れていることは?
会社のある札幌市白石区の「ご当地あんぱん」を作るなど、パン部門に注力しています。そのあんぱんは中に伸びるあんこが入っており、パンのコンクールで金賞をいただきました。スイーツ店が本気で作ったあんぱん―というコンセプトです。

現状維持は会社を弱くする チェンジにチャレンジ 

――新しいものに絶えずチャレンジする源泉は何ですか。
現状維持やマンネリは企業を弱くすると考えており、常にチャレンジしていかなければ、会社が活性化しないと思います。

――ボスとして、どういう心構えでいますか?
「チェンジにチャレンジ」―。新しいことに挑戦することを楽しみ、お菓子を通じて(北海道をはじめ、全国のみなさんを)幸せにしたいという思いは、うちの従業員の幸せや豊かさにつながると考えています。良い意味で会社を大きくしたいと思います。

――北海道に根ざしたお菓子作りですね。
北海道はお菓子の原材料の小麦や乳製品など、良い素材があり、北海道の原料を使って製造することを第一前提で考えています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。