江戸時代の金の採掘地で、山が割れたような姿の「道遊の割戸」(手前)と、旧佐渡鉱山の遺構=新潟県佐渡市で2024年5月26日、本社ヘリから手塚耕一郎撮影

 日本政府が世界文化遺産に推薦していた「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)について、世界遺産への登録の可否を調査する諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス、本部・パリ)は6日、追加情報の提出を求める「情報照会」と国連教育科学文化機関(ユネスコ)に勧告した。政府は7月にインド・ニューデリーで開かれる第46回ユネスコ世界遺産委員会での登録を目指して勧告内容に対応する。

 情報照会は4段階のうち上から2番目の評価で、これまで日本政府が推薦した候補では初めての勧告。構成資産を見直すなどして次回以降の世界遺産委で再度審査するが、昨年に情報照会とされた他国の6件は全て昨年の世界遺産委で登録が認められている。

 文化庁によると、イコモスは佐渡島の金山について「完成された手作業による採鉱と製錬技術を継続したアジアで他に例を見ない事例」として普遍的価値を認定。一方で、「江戸期より後の遺構が大部分を占める」として構成資産の範囲から「相川鶴子(あいかわつるし)金銀山」にある北沢地区を除外することなどを求めた。

 文化庁の担当者は「勧告を真摯(しんし)に受け止める。北沢地区を除外するかどうかは県、市、関係省庁と協議する」と話した。

 佐渡島の金山は「西三川(にしみかわ)砂金山」と相川鶴子金銀山の2鉱山で構成される。16世紀ごろの大航海時代を境に欧州などで機械化が進む中、19世紀半ばまで手作業による採掘が続いた。政府は坑道や排水路、鉱山集落など生産技術・体制の詳細を示す遺構が良好な状態で保存されている点をアピールしていた。

 世界遺産に登録されれば、国内では2021年の「北海道・北東北の縄文遺跡群」以来で21件目。世界自然遺産も含めると26件となる。【西本紗保美、斎藤文太郎】

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