埼玉県蓮田市の国史跡「黒浜貝塚」。五つのエリアに分けられ、「宿浦のムラ」の4号住居跡の貝塚の周囲にはクリなどが植栽された=2023年4月30日、萩原佳孝撮影

 埼玉県蓮田市は、市が管理する国史跡「黒浜貝塚」の樹木を伐採し、13本を枯死させたとして、同市の男性に9万5700円の損害賠償を求める訴えを大宮簡裁に起こすと発表した。6月定例市議会に議案を提出する。

 市によると、2021年3月27日に男性が樹木を伐採しているのを市職員が確認した。高さ2~3メートルのアキグミ、タラノキなど25本が伐採されていた。

 隣接地に男性が管理する駐車場があり、以前から草刈りなどを男性に求められていたという。市は文化庁とも協議の上、男性を刑事告訴したが、不起訴(起訴猶予)処分になった。市は2月に損害賠償を求めたが、男性は応じなかった。

 同貝塚は2006年に国史跡に指定され、市が整備した。縄文当時の景観を復元する構想に基づき、花粉分析で確認された、当時生えていた木などを植樹した。伐採されたのはその一部という。

 同貝塚では他に、勝手に水仙が植えられたり、水辺にホテイアオイが入れられたりしたこともあったという。小宮雪晴・市生涯学習部長は「史跡に勝手に手を付けてはいけない、ということを明確に示す必要があると考えている」と話した。【萩原佳孝】

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