国家公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕された前鹿児島県警生活安全部長の本田尚志容疑者(60)が、札幌市のライターに郵送したとされる情報漏洩の疑いがある文書に、前県警刑事部長が枕崎署員の盗撮事件の捜査に関し「静観」するよう指示したという趣旨の記載があることが8日、関係者への取材で分かった。

県警は8日夜、枕崎署員の盗撮事件の捜査は生安部門が担っていたと説明。前刑事部長が「在任中、枕崎署の盗撮事案は全く知らなかった。報道されている事件の捜査指揮に携わったことはなく、野川(明輝)本部長からも事件に関して指示を受けたことはない。静観しろなどと指示したこともない」と話していると明らかにした。

本田容疑者は文書に自分の名前は記さず、県警の不祥事の問い合わせ先として、前刑事部長の名前や電話番号などを載せていた。本田容疑者は文書の郵送を認めており、県警は動機を慎重に捜査している。

関係者によると、本田容疑者が送ったとされる文書はA4で複数枚。捜査資料など公文書の写しではなく、パソコンなどで作成したものとみられる。盗撮事件、立件が見送られた警察官によるストーカー事案、超過勤務手当不正取得疑惑の3つの不祥事について、内容がまとめられていた。

「刑事企画課だより」という県警の内部文書のようなものも含まれていた。封筒に差出人は書かれておらず、4月3日に届いた。

盗撮事件は昨年12月発生。本田容疑者は記事化を期待し、文書を退職直後の今年3月28日ごろ送ったとされる。県警は5月、性的姿態撮影処罰法違反などの容疑で枕崎署員を逮捕した。

本田容疑者は文書郵送の動機について、野川本部長が不祥事を隠蔽しようとしたことが許せなかったためと主張。一方で文書には、野川本部長が隠蔽を指示したと読み取れる内容の記載はなかったことが判明している。〔共同〕

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