沖縄県那覇市出身のラッパーAwich(エーウィッチ)さんは9日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学(OIST)で講演会を開き、生活困窮世帯の若者に英語学習の機会を提供する自身が企画したプロジェクトへの思いや「逆境を自分たちの力に変える」秘訣を語った。県内の中高校生、大学生ら約450人が真剣なまなざしで話を聞いた。

 プロジェクトは「Know The World -Awichグローバル教育プロジェクト-(アトランタ留学&まちなか留学)」で、国際交流事業を展開する「HelloWorld」(沖縄市)と共同で取り組む。県内に住む生活困窮世帯の高校1年生~満22歳の100人に「まちなか留学」の機会をつくる。そのうち3人を選び、米国アトランタへの短期留学の機会を無償で提供する。

 Awichさんは、プロジェクトを始めた理由を「(留学は)自分には手が届かないと考えている人に実現できることを知ってほしくて発足した。世界を見て自分を省みることは財産になる」と語った。

 自身もアトランタに留学した経験がある。現地で米国人と結婚し娘も授かったが後に夫を亡くし、「逆境を乗り越えられなかったこともあった」。そんな中、心の支えになったのが中学生から始めた「日記を書いて自問自答する」習慣だったという。

 「自問自答すると自分の動機を確認できる。『なんでラッパーになりたいの?』とか『お前にできなくない?』など不安も書き出して答える。すると段々と自分のやりたいことが固まって、ぶれなくなる。自問自答のプロセスで逆境も力に変えてきた」と語った。

 参加者からの質問にも答え、進路に悩む沖縄尚学高校2年の仲宗根歌芳さん(16)に「自分は何がしたいか、どういう人生を送りたいか。自分と会話することが超大事」とエールを送った。

 今後について「沖縄の若者が『Awichができるなら俺も私もできるんじゃね』っていう世界観をつくりたい。そのためにグラミー賞を本気で目指している」と力を込めた。(北部報道部・比嘉海人)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。