岐阜県瑞浪市のリニア中央新幹線トンネル工事現場付近で井戸などの水位が低下した問題で、JR東海は10日夜、同市大湫(おおくて)町の住民を対象とした説明会を大湫コミュニティセンターで開いた。
同社は工事が行われている各地区で住民に対する説明会を実施しているが、同市大湫町では水位の低下を報告した5月13日以降では初めて。説明会は非公開で、地元住民や市議、水野光二市長の計約70人が出席した。
説明会終了後に報道陣の取材に応じた水野市長やJR東海中央新幹線岐阜西工事事務所の加藤覚所長によると、説明会では、JR東海側がトンネル内で発生した湧水(ゆうすい)を止水する薬液注入の状況▽各水源の水位観測結果▽代替井戸の状況――などを説明。住民からは新たな水環境の変化を指摘する声が上がり、同社は今後調査することを約束した。
水野市長は取材に「自然環境が崩れかけているので環境の保全に最大限取り組んでほしい」とJR東海側に改めて要望。加藤所長は「地域とのコミュニケーション不足を反省している。信頼関係の回復に努めたい」と話した。
説明会に参加した、自宅の井戸が枯れたという70代の男性は取材に「湧水を止めて、この地域の水環境を早く取り戻してもらいたい」と語気を強めた。
この問題を巡っては、今年2月に大湫町の井戸など14カ所で水位の低下が判明。5月16日に同社の丹羽俊介社長は定例記者会見で初めて水位低下の問題に言及し、工事を一時中断すると表明したが、情報が十分に届いていなかった地元から批判が相次ぎ、同社は同20日に工事の即時中断を発表した。【真貝恒平】
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