防災道の駅に指定されている「道の駅うきは」の敷地内には災害時、マンホールトイレ(手前)が設置できる=福岡県うきは市で2024年5月22日午後2時52分、吉田航太撮影
写真一覧

 国土交通省が大規模災害時の広域的な活動拠点として全国39カ所の道の駅を「防災道の駅」に選定して6月で3年がたった。各駅がハード整備などで国から重点的な支援が受けられるのは最長5年間で、残すはあと2年。福岡県内で唯一選定されたうきは市浮羽町の「道の駅うきは」を訪れると、着々と「備え」が進んでいた。【吉田航太】

 「フルーツの里」としても知られる道の駅うきはは、1年を通じて季節ごとの新鮮なフルーツが並び、地元で取れた野菜や加工品などの品数も豊富で、週末になると多くの買い物客でにぎわう人気のスポットだ。

 防災道の駅は、災害時に自衛隊や警察等の救援活動や普及活動の拠点、緊急物資の集配拠点としての役割を担う道の駅を国交省が2021年6月に選定。道の駅うきはには元々、広い駐車場や非常用発電施設などがあり、17年の九州北部豪雨の際、被災地で活動するボランティアの宿営地として2カ月間活用された実績もあり、選ばれた。

 駐車場の脇には11本のトイレ用のマンホールを整備。ふたをはずして便座やテントを設置すればそこはマンホールトイレへと早変わりする。災害時に施設が被災し、仮設トイレの手配に時間がかかる場合でもマンホールトイレはすぐに利用できるメリットがある。

道の駅うきはに準備されている、災害時に災害対策車両を優先的に停車させるための道路標識=福岡県うきは市で2024年5月22日午後2時13分、吉田航太撮影
写真一覧

 「やはりトイレが一番大事」。自身も12年の豪雨で自宅が土砂にのまれ全壊した小河孝幸駅長(66)の言葉には重みがある。

 1月に発生した能登半島地震では、敷地内にあった「防災用コンテナ型トイレ」を地震10日後に石川県穴水町の「道の駅あなみず」へ移送し、設置。浄化処理システムを備えており、使う時に給水すれば、太陽光発電やバッテリーを電源に全自己処理型トイレとして使用することができ、急務であるトイレ整備の一助となった。

 道の駅うきはでは、防災拠点としての整備が続いている。第3駐車場まである広い敷地内で、一時避難の際にテントになる「防災パーゴラ」や、炊き出しのかまどにもなるベンチ、備蓄倉庫など「備える」工事が進む。

 年1回の防災訓練も重ねており、スタッフ一人一人が有事に備える。小河駅長は「訓練は訓練で終わった方がいい。災害が多発する昨今、どこに備えがあるかをそれぞれが知っていることが大事だ」と話した。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。