デザインを踏襲しつつポップになったパッケージの「亀の甲せんべい」=山口県下関市のJR下関駅で2024年6月6日午前11時23分、山本泰久撮影

 山口県の下関銘菓として幕末から親しまれ、惜しまれつつも姿を消していた「亀の甲せんべい」が、地元企業の連携で「令和復刻版 下関・馬関 亀の甲せんべい」としてよみがえり、6月から販売を再開した。年配者には懐かしく、若い世代には新鮮な菓子として人気を集めている。【山本泰久】

 亀の甲せんべいは、軽い食感で口にふくむとすぐに溶け、程よい甘さが残って、根強い人気があった。製造・販売は、文久2(1862)年創業の和菓子店「江戸金」が続けていたが、後継者不足などで2022年3月に廃業してから途絶えていた。

 せんべいの復刻を発案したのは、山口フィナンシャルグループ(下関市)などの出資で17年に設立され、県内の特産品開発などを手がけている「地域商社やまぐち」(同)。将来の復刻をにらんで商標を承継していた深川養鶏農業協同組合(長門市)が製造を、地域商社やまぐちが販売を担当する形で連携し、商品化にこぎ着けた。

発売された復刻版「亀の甲せんべい」=山口県下関市で2024年6月6日午後0時1分、山本泰久撮影

 復刻版の製造では、江戸金の元製造責任者らに話を聞き、可能な限り元祖の味を再現。より小ぶりにして食べやすくした。パッケージも亀山八幡宮(下関市)にちなんだデザインを踏襲。「第3回せとうちおみやげグランプリ」(ジェイアールサービスネット主催)で入賞し、銘菓としての実力を見せつけた。

 商品開発に携わった地域商社やまぐち営業部チーフの丸谷友喜さん(29)は「製造設備が異なるので復刻には苦労したが、できる限り味を再現した。パッケージはよりポップな感じなので、若い人にも手に取ってほしい」と話している。

 亀の甲せんべいは20枚入り1080円(税込み)。12月31日までJR直営の土産品店限定で販売する。25年1月からは県内の土産品店で幅広く販売していく計画だ。

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