東京女子医科大学(東京・新宿)が、医学部卒業生を教授や講師などに採用する際、同窓会組織の一般社団法人「至誠会」への寄付額などを評価対象としていたことが17日、関係者への取材で分かった。文部科学省は、詳細を報告するよう大学側に求めている。

関係者によると、東京女子医大は2018年5月、卒業生が教授や准教授への採用や内部昇格を希望する場合、至誠会が発行する「活動状況報告書」の内容を評価対象とすることを決めた。

報告書には、至誠会主催の研修会などへの出席状況や、過去5年間の至誠会への寄付額などを記載。出席回数や寄付額に応じてポイントに換算され、合計点数で5段階評価される仕組みだった。

学内には「寄付などの状況を鑑み、活動が認められない場合は評価に影響する」などと通知しており、報告書の発行を至誠会に申請した卒業生のうち多数が実際に寄付していた。

この制度は23年8月の理事会で廃止が決まった。東京女子医大は「公益性のある活動をしている至誠会への寄付を社会貢献活動の一つとして積極的に評価してきた。寄付を強いる行為があったとの報告はなく、問題があるとは考えていない」としている。

至誠会を巡っては、勤務実態のない職員に給与が支払われた疑いがあるとして、警視庁が今年3月、一般社団法人法違反(特別背任)の疑いで大学本部や岩本絹子理事長の自宅などを家宅捜索した。岩本氏は23年4月、至誠会の会長を解任されている。〔共同〕

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