大阪地検特捜部が捜査した学校法人をめぐる業務上横領事件で無罪が確定した不動産会社の元社長が7億7千万円の国家賠償を求めた訴訟で、捜査を指揮した主任検事の証人尋問が18日、大阪地裁(小田真治裁判長)であった。

原告はプレサンスコーポレーション(大阪市)元社長の山岸忍氏(61)。14日の証人尋問に続き出廷した主任検事は「証拠や事実関係に照らして有罪判決を得られると判断して起訴した。無罪判決は真摯に受け止める」と述べた。

事件の捜査に関わった検事4人に対する証人尋問は計3回実施され、この日で終了した。これまで山岸氏の元部下=業務上横領罪で有罪確定=を取り調べた男性検事が「大罪人」などと詰問し机をたたいた理由を述べたほか、別の男性検事が主任検事に「逮捕を待った方がいい」と進言した当時の状況などについて説明した。

主任検事はこの日、事件の取り調べ状況や部下からの進言を上司に連絡したかを問われ「必要な証拠は積極的、消極的を問わず、全て上司らに共有して判断を仰いだ」と証言した。

山岸氏側は、この主任検事が過去に担当した事件の取り調べで、大声で怒鳴り机をたたいたとする調書を新たに証拠提出した。

記者会見する原告の山岸忍氏㊥(18日、大阪市北区)

検事らは「職務上の秘密に該当する」などとして証言を控える場面も多く、閉廷後、記者会見した山岸氏は「(取り調べで)本当のことを話せと言ってくるのに、自分たちは拒否するのはフェアじゃない」と非難した。

次回弁論は10月29日。同氏側の代理人によると、今後は同氏側と国側双方がそれぞれの主張をまとめた書面を提出し、国の賠償責任の有無について中間判決が言い渡される見込みという。

訴状などによると、山岸氏の元部下らに対する検事の威圧的な取り調べによって同氏の関与を認める供述に転じ、逮捕、起訴された。逮捕から248日間勾留され、取締役の地位を失い、精神的苦痛や経済的損害を受けたとしている。

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