記者団の取材に応じる前沢友作氏=10日午後、自民党本部

著名人になりすます詐欺広告への対策を巡り、米IT大手のメタ(旧フェイスブック)が16日に声明を発表。「社会全体でのアプローチが必要」などとした内容について、自社の責任を回避しているとして、なりすまし被害を訴えている当事者から反発の声が出ている。衣料品大手ZOZO(ゾゾ)創業者の前沢友作さんはSNS上に「なめてんの?」などと投稿、不快感は鮮明だ。

「日本語、理解できてますか?」

「おいおい。まずは謝罪の一言は?社会全体のせい?『審査チームには日本語や日本の文化的背景を理解する人を備えている』なら、俺や堀江さんや著名人が利用された詐欺広告なんてすぐに判別できるでしょ?なめてんの?」

これは16日のメタの声明を受け、前沢さんがX(旧ツイッター)へ投稿したメッセージだ。さらに17日には、「日本語や日本の文化的背景が理解できるというメタ社の広告審査チームのみなさん、先ほど御社のフェイスブックやインスタグラムを見たら、これらの広告が出てきたのですが、本当に日本語や日本の文化的背景を理解できてますか?」と、実際に自身が写った不正広告の画像を添えて、まくしたてた。

日本語や日本の文化的背景が理解できるというMeta社の広告審査チームのみなさん、先ほど御社のFacebookやInstagramを見たら、これらの広告が出てきたのですが、本当に日本語や日本の文化的背景を理解できてますか? https://t.co/LWcRC0NiRO pic.twitter.com/obZjKQhvUU

— 前澤友作 (@yousuck2020) April 16, 2024

一連の問題を巡っては、前沢さんのほか、実業家の堀江貴文さんら著名人の画像を無断で利用してなりすまし、架空の投資に勧誘する不正広告がフェイスブックなどで拡散しており、社会問題になっている。

前沢さんは今月4日、X上で「公開質問」として、フェイスブックジャパン側へ「今後どのように対応するか」などと尋ねたほか、10日には、堀江さんとともに自民党の消費者問題調査会などの合同勉強会に出席し、なりすまし広告の規制強化を求めていた。

「社会全体の脅威」主張

16日に発表されたメタの声明では、「オンライン詐欺は世界中の人々を標的とする社会全体の脅威」とし、平成28年以降、詐欺への対策も含めた安全対策に200億ドル(約3兆円)以上を投資してきたと説明。詐欺広告かどうかを審査するチームには、「日本語や日本の文化的な背景に詳しい人員を配置している」ともした上で、「世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴う」「専門家や関連機関との連携による社会全体でのアプローチが重要」などと訴えていた。

警察庁によると、令和5年にSNSを使った投資詐欺の被害額は約277億9千万円。7月以降に急増したという。今年3月には、SNSを使った投資詐欺や、恋愛感情を悪用する「ロマンス詐欺」を巡り、プロジェクト・チーム(PT)の設置など対策の強化を全国警察に指示している。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。