再審公判のため静岡地裁に入る袴田さんの姉のひで子さんら(17日、静岡市)

1966年に静岡県で一家4人が殺害された事件で、死刑が確定した袴田巌被告(88)の再審公判が17日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であった。犯行時の着衣とされた「5点の衣類」に残った血痕のDNA型鑑定の結果を巡り、弁護側は「袴田さんのものと一致せず無罪を示すものだ」と主張。鑑定手法が信用できないなどとする検察側と対立した。

公判は5月22日に結審する予定で、審理は大詰めを迎えている。判決は夏以降になる見通し。事件から約1年2カ月後に現場近くの工場のみそタンクから見つかった5点の衣類の証拠評価が最大の争点となっている。

弁護側は17日の公判で、衣類についた血痕のDNA型鑑定について「信頼性の高い機器やキットを用いて、マニュアル通りに実施している」と説明した。衣類の保管環境にも問題はなく、検出されたDNA型が袴田さんのものと一致しなかった結果は「無罪を示すものだ」と改めて主張した。

検察側は鑑定方法が適当でなく、血液の成分以外のDNAを検出した可能性を排除できないとした。残っていたDNAは事件当時の火災の熱や長期間の保管で分解され「極めて微量と推認される」とも指摘し、弁護側の結果に信用性はないと反論した。

DNA型鑑定を巡っては、2008年からの第2次再審請求審で検察、弁護側双方が推薦した法医学者がそれぞれ実施した。弁護側が「袴田さんや被害者の型と一致しない」とした鑑定結果について、東京高裁、最高裁がそれぞれ信用性を認めないと結論づけた。

今年3月の公判では、衣類に残った血痕の「赤み」について、専門家らの証人尋問が実施された。1年以上みそに漬かった血痕は黒くなるのが一般的との意見は一致したが、今回の血痕に赤みが残らないか否かについては意見が割れた。

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