近畿地方はまだ梅雨入りしておらず、記録的な遅さとなっています。
この影響で、関西の名産品がピンチに。
そして熱中症のリスクが増しているということで、取材しました。
■もう19日…梅雨は入りまだ 大阪の最高気温は31.2度
【記者リポート】「午後2時前の大阪市内の公園です。ジメジメとした暑さとなったきょう、こちらの噴水では子供たちが水遊びをして涼んでいます」
きょう、大阪市内は最高気温が31.2度と蒸し暑い真夏日になりました。
【公園に来た人】「水遊びできる格好を持ってきて、水遊びしてました」
【公園に来た人】「いま52キロ(自転車で)走ってきて、大阪環状線一周してきた。ムシムシする暑さ」
厳しい暑さに人間だけでなく、動物も日陰で一休み。
このまま真夏にまっしぐら!の前に…何かお忘れではありませんか。
そう、まだ梅雨がきていないのです。
平年では6月6日ごろが梅雨入りですが、もう19日です。
【気象予報士 片平敦さん】「近畿地方でここまで梅雨入りが遅くなっているのは、今まで遅いほうから数えて、5位以内に入るような、それぐらいの遅さ。まだ梅雨入りしてなくて雲が少ないということは、その分日差しが強い。つまり気温が上がりやすくなっている。湿気が増えて、その中で日差しが降り注ぐと、夕立のように天気が急変するような気象状況になりやすい」
■晴雨兼用の折り畳み傘が人気 去年に比べて2倍の売り上げ
暑いうえに、急な雨が降るリスクが合わさって、大阪市北区にある「梅田ロフト」では、いま、ある商品が売り上げを伸ばしているそうです。
【梅田ロフトバラエティ雑貨売場 赤嶋明日香さん】「ことしは梅雨入りが遅いので、暑い日が続いておりまして、晴雨兼用の折り畳み傘がよく売れています」
「晴雨兼用の傘」は、撥水加工で雨から身を守るのはもちろんのこと、遮光やUVカットといった日傘の機能も持っています。
梅田ロフトでは、ここ最近の暑さと不安定な天気の影響か晴雨兼用の傘が、去年の今頃と比べると2倍売れているということです。
この新商品は、重さが85グラムと、スマートフォンより軽く、コンパクトなのが特徴です。
【記者リポート】「めちゃくちゃ軽いです。なんの重みも感じないぐらい」
【梅田ロフトバラエティ雑貨売場 赤嶋明日香さん】「男女問わず、どなたでもお手にとっていただいていて、晴れている日は、しっかりさしたいですし、突然の雨に備えて、常にかばんの中に持っていたい方が多いように感じています」
【買い物客】「買うときは、両方使えるの買います。1本でどっちもいけるから持ちやすい」
【買い物客】「ここで、最近買いましたよ。晴雨兼用です。日差しと雨、両方です。必須」
■梅雨入りが遅れ 農作物にも影響「いわゆる平年並みを期待」
一方、梅雨入りが遅いことで兵庫県丹波篠山市では、こんな影響が。
6月上旬に黒豆の種をまいたこの畑。
毎年、梅雨のシトシト雨で水分を含ませ発芽させるそうなのですが、ことしはなかなか梅雨入りせず、発芽しない状況が続いています。
【アグリヘルシーファーム 原智宏代表取締役】「これが発芽して付いた黒豆の苗、赤ちゃん。おとついぐらいに降った雨で一気に発芽した」
心配な状況でしたが、おとといの雨で何とか芽を出し、タイムリミットぎりぎりで難を逃れました。
【アグリヘルシーファーム 原智宏代表取締役】「助かったって感じですかね。発芽しないままでは2週間ぐらいが限界です。2週間雨がなかったら、種は死んじゃいます。となると、もう一度、作業同じことやらなきゃならないですし、種にもお金かかりますし」
梅雨入りを心待ちにしています。
【アグリヘルシーファーム原智宏代表取締役】「ことしは悩まされるなと思ってたんですけど、本当にたった1回の雨で好転したりするのが農業なんです。いま発芽までこぎつけたので、あとは梅雨入りしていただいて、それもあんまり長くならないように、いわゆる平年並みというのを期待しています」
さらに…、
【記者リポート】「丹波篠山市のゆり園です。すてきなユリが満開ですが、実は梅雨入りしていないことで困ったことが起きているんです」
シーズン中、10万本の色とりどりのユリが咲き誇るゆり園。
兵庫県内は、先週から30度以上の真夏日を観測する日が多く、早咲きのユリが一気に満開になったということです。
【訪れた人】「これほどたくさんのユリ見たの初めて、立派なものです」
【訪れた人】「きれいですよね」
このゆり園では、ユリが見頃で一見すると影響はあるように思えませんが…、連日の気温の高さで花の開き具合が早まって、きれいなユリがいつまでもつか、スタッフたちはハラハラしながら見守っています。
【ささやま玉水 安田嘉典社長】「最初から決まっているバスツアーとかですね。7月出発も結構確定ついておりますので、(Q.そこまで持つかなと?)そういう心配で、時々寝られないときがあります。このバックのところは6月終わりぐらいには終わってしまってかなと」
6月下旬以降、早咲きの時期は終わりますが、遅咲きのユリとこれから見頃を迎えるアジサイを楽しんでほしいということです。
■熱中症の危険度が高まっている 「梅雨型熱中症」に注意
この状況は、「人」にも影響が及びそうです。
【気象予報士 片平敦さん】「梅雨入りが遅く、熱中症の危険度が特に高くなっている。つまり気温は高くなっている。とはいえ梅雨も近く、湿気も増えている。晴れたらとにかく蒸し暑い日が増えている」
大阪市内の病院を取材すると…。
【北野病院救急科 平川昭彦医師】「先週ぐらいから、気温も上がって湿度高くなって、救急車の台数が倍近く増えてきている。高齢の方が、もともと心臓病、腎臓病を持っていて、水分や食事がとれず、体調を崩して救急搬送される方が増えています」
さらに今後は、「梅雨型の熱中症」にも注意が必要だということです。
【北野病院救急科 平川昭彦医師】「気温が30度以上になってなくても、湿度が80%以上になると、熱中症になりやすい。湿度が高くなると、汗が出にくく、のどが乾きにくい。脱水になっていても水分補給をせず、最終的に気付いたときには重症になっている。梅雨型熱中症のひとつの特徴だと思います」
梅雨入りと夏本番を前に、いま、より一層の警戒が必要です。
■湿度80%以上は熱中症リスクが高い 「ムッ」としたら除湿を
北野病院の平川医師によると、気温が30度より低くても、湿度80%で熱中症の危険があるそうで、部屋に入って「ムッとする」と感じたら、除湿器やエアコンの除湿機能を活用してほしいとのことです。
ことしは梅雨に入る前から、対策をしっかりしていかなくてはいけません。
【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「湿度に注目するのは、今まであまりなかったかもしれませんが、できるなら気温だけではなく、湿度にも目を向けていただく。たぶん湿度が80%になっている所では、たぶん『ムッ』どころじゃないと思います。その手前で、おそらく『ムッ』と感じると思います。ただそれもやっぱ人によって感じ方が違うので、ご自身の体によく聞いて、本当に『ムッ』と、なんかむしっとするな、嫌だなと感じたら、エアコンの除湿を使っていただき、ぜひ敏感に反応いただけたらと思います」
特にお子さんや、ご高齢の方はしっかりと対策しなくてはいけません。
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「意外なんだけど、熱中症になってしまう場所は、カンカン照りの外をイメージするけど、実は家の中が多いんです。それで高齢者がやっぱり多いわけですよ。よく水をこまめにとか、クーラーをできる限り切らないようにとか言うけど、“だいたい”じゃなくて、やっぱりこれをしっかりルール化する。 例えば1時間に1回、どれぐらい飲むとか、インターネットで調べたらありますから、“こまめに”じゃなくて、ルールをちゃんと決めるということ。それから高齢者は家族とかが、一人暮らしであれば必ず電話して、夜寝る前にクーラー入れてる?と確認をするとか、そうやって、ちゃんと“だいたい”じゃなくて、きちんとルール化していく事も、ぜひやってほしい」
これから本格的な夏になっていくので、今から対策していただきたいと思います。
(関西テレビ「newsランナー」2024年6月19日放送)
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