大雨警報が発令された14日、那覇市首里石嶺町で少なくとも12軒の住宅が床上浸水していたことが19日、分かった。12軒は同日までに罹災(りさい)証明願書が提出されている軒数で、被害数はさらに拡大するとみられる。市は18日から市内全域で大雨の被害調査を開始しており、罹災証明書を基に、被災者に災害見舞金を支給する方針だ。

 同町3、4丁目では大雨のたびに安謝川や水路が氾濫し、冠水や浸水が発生しており、市は被害軽減対策として4丁目に「石嶺雨水調整池」を整備中。貯留施設などは完成しているが、ためた水を排出する排水ポンプは今年10月に設置完了する予定。

 調整池は、大雨時に地下の貯留施設に水をためることができ、1時間に56・5ミリ、計6千立方メートルの雨水をためられる。那覇市では14日午前10時半までの1時間に過去最大の94・5ミリの大雨を観測。調整池には容量を超える雨水が流れ込んだ。周辺の道路に冠水し、床上約30センチまで浸水した住宅もあった。

 水路のすぐそばに住む男性(59)は家具や冷蔵庫などの家電が水没し、畳15畳がだめになった。トイレから水が逆流し、悪臭に悩まされている。男性は「調整池が完成したと思っていたから安心して浸水対策しなかった」と憤りを隠さない。 約30センチ床上浸水した女性(85)は14日朝、目が覚めると家の中が海のようになっていたとし、「市には早く対策してほしい」と要望した。

 市の担当者は「調整池は完成前で効果が十分に発揮される段階ではない。100年に1度の大雨で想定を超える雨量だった」と説明。調整池の早期完成を目指す他、県に対して安謝川の整備を求めるとした。(社会部・玉城日向子)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。