最高裁判所=東京都千代田区で2023年10月25日、本社ヘリから

 性同一性障害特例法に基づいて男性から性別変更した40代女性が、自身の凍結精子を使ってパートナーの30代女性との間にもうけた子を認知できるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)は17日、弁論期日を5月31日に指定した。弁論は2審を見直す際に必要な手続きであることから、性別変更後に生まれた次女の認知を認めなかった2審判決を見直す可能性がある。

 40代女性は2018年冬に男性から性別を変更した。性別変更前に自身の凍結精子でパートナーが長女を出産し、20年にはやはり凍結精子で次女が生まれた。DNA型鑑定で子2人の親は40代女性と確認された。

 40代女性は、子2人の父だとする認知届を自治体に出したが受理されなかった。このため、子2人が原告となり、40代女性に認知を求める訴訟を起こした。

 1審・東京家裁判決(22年2月)は「法律上女性とみなされる人を父だとすることは現行法と整合しない」としていずれの認知も認めなかった。

 これに対し2審・東京高裁判決(22年8月)は、長女の出生時に、40代女性の戸籍はまだ男性だったことから、40代女性が父として長女を認知することが可能だと判断した。

 一方、次女の出生時には、40代女性は既に男性から女性に性別を変更していたため、40代女性を父とすることは認められないとし、子2人の親子関係の判断が分かれた。次女は判決を不服として最高裁に上告していた。

 40代女性が長女の父であるとする認知届は自治体に受理されている。【巽賢司】

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