滋賀県警本部

 滋賀県警近江八幡署が、いなりずしを万引きしたとして70代の女性を誤認逮捕し、3日後に釈放した問題で、冤罪(えんざい)に詳しい甲南大の笹倉香奈教授(刑事訴訟法)は「そもそも逮捕する必要があったか疑問だ。『被害品』の額は300円で、仮に犯罪だったとしても軽微で、女性が証拠を隠したり逃亡したりする恐れは低かったと考えられる。任意で事情を聴くこともできたはずだ。捜査機関は逮捕が重大な権利侵害であることを認識し、慎重になるべきだ」と述べた。

 笹倉教授は、刑事訴訟法で現行犯逮捕が認められる条件として「犯罪と犯人の明白性」を挙げ、「判例を踏まえると、警察官や一般人ら逮捕する側から見て『その人が明らかに罪を犯した』と認定しない限り、現行犯逮捕はできない」と説明する。

 今回については「駆けつけた警察官が、女性がいなりずしを万引きする行為を実際に見たわけではない。店の関係者から間接的に得た目撃証言や、女性が商品を持っていたことだけで現行犯逮捕したのは、性急だったのではないか。ましてや、女性は『知人にもらった』と容疑を否認していた」と問題点を指摘した。

 3日間にわたり女性を拘束した点についても「店の売上額と販売した商品数を調べれば、万引きをした疑いが強いかどうかは確認できる。容疑に矛盾を示す客観的な証拠が出た段階で、女性をより早く釈放することもできた」と署の対応を批判した。【郡悠介】

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