和歌山地裁、和歌山家裁、和歌山簡裁が入る庁舎=竹内望撮影

 「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の男性(当時77歳)が残したとされる「遺言書」の有効性が争われた訴訟で、和歌山地裁(高橋綾子裁判長)は21日、遺言書は「有効」とする判決を言い渡した。書面には全財産を和歌山県田辺市に寄付すると書かれており、遺産は13億円超とされている。

 男性は複数の会社を経営していた田辺市の野崎幸助さんで、2018年に急性覚醒剤中毒で死亡した。元妻の須藤早貴(さき)被告(28)が21年、野崎さんへの殺人罪などで逮捕、起訴されている。

野崎幸助さんの死後に見つかった遺言書とされる書面(画像の一部を加工しています)

 野崎さんが残したとされる書面には「全財産を田辺市にキフする」などと赤のペンで書かれ、日付や本人の署名、押印もあった。和歌山家裁田辺支部が遺言書の要件を満たしていると判断したことから、市が19年9月に遺産を受け取る方針を示した。

 これに対し、野崎さんの兄ら親族4人が20年4月、遺言書は無効だとして遺言執行者の弁護士を相手に提訴。筆跡や寄付の動機などを巡り、有効な書面かどうかを争っていた。【藤木俊治】

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