9センチ未満の小さなエビを海に戻すため、選別をする漁業者=野付湾で2024年6月26日午前5時26分、本間浩昭撮影
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 北海道の道東に初夏の訪れを告げる根室海峡・野付(のつけ)湾のホッカイシマエビ夏漁が26日始まり、白い帆を張った打瀬舟(うたせぶね)20隻がたゆたった。

 夜明け過ぎは鏡のように静かな湾で、帆で受けた風の分だけ網にエビを取り込む昔ながらの漁法にとってはあいにくの条件とみられたが、次第に風が強まり、昨年に比べて2日遅れの初出漁になった。

 昨年秋は夏の高水温による資源状態の悪化から操業を見合わせ、冬は流氷が居座ってエビのすみかとなるアマモの流出が確認されていた。このため、漁業者は不安をかかえながらの操業だったが、第8大幸丸(1・6トン)の安達隼人船長(43)は「どうなるかと思っていたが、初日としてはまずまず。大きさも割といい」と笑顔をみせた。

 野付湾の打瀬網漁は2020年6月に文化庁の日本遺産に認定された「鮭(さけ)の聖地の物語」の構成文化財。帆で風を受ける伝統的な漁法で乱獲を防ぎ、藻場を守るために漁場の往復以外は船外機を使わない資源管理型漁業で、野付湾の初夏と秋の風物詩となっている。夏漁は7月16日まで。【本間浩昭】

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