福島県いわき市の繁華街で起きた大規模な火災発生から1ヵ月。現場では火災によって崩れ落ちたガレキが、復旧への足かせとなっている。

福島テレビ・安齋遥介記者:「1ヵ月が経った今も、現場には瓦礫が残されたままです。一方でいわき市の対策として、まずは道路を通そうということで、バリケードと目隠し用のシートが張られ、今は通行できるようになっています」

「あっという間の1ヵ月だけど、私も時々自分のところに見に来るんだけど、まだまだですよね」と話すのは、火災が発生した繁華街でジャズバーを経営する女性。店は全焼し、現在は新たなスタートを切るため、近くでテナントを探している。

<駅前の繁華街で13棟が焼損した大規模火災>
5月26日に発生したいわき市平字田町での火災。
繁華街の一帯に火の手がまわり、建物13棟が焼損、入居する飲食店など44のテナントが被害を受けた。福島県中小企業家同友会の吉田一巳さんは「やはりこの田町が元気じゃなったら、人の動線っていうのは掴めないんじゃないかなと。田町が空洞するような状況では、平にとっても、いわき市にとってもマイナスだということで」と話す。

<ガレキが復旧の足かせに>
復旧に向けて課題となっているのが、火災現場にある「大量のガレキ」。複数の地権者や建物の所有者がいる為、撤去費用の負担などで合意形成ができていないという。
自然災害ではないため公費での支援は難しく、いわき市では立ち上げた対策チームを地権者などの意向を聞く窓口として機能させ、早ければ8月にも撤去へ着手させたい考えだ。
いわき市の内田広之市長は「とにかく合意形成を進めて、がれきの撤去を一刻も早く進めていくということが、我々行政ができることであります」と話す。

<支援の在り方も課題>
営業再開に向け前に進もうとしている飲食店の関係者たち。その歩みを後押しできる支援の在り方も大きな課題となっている。経営する店が全焼した女性は「少し落ち着いて、少しずつ準備していこうかなとは思ってます」という。

<火災の再発防止へ>
火災の発生から再発防止に向けた取り組みも続いている。
「(消火器は)何かあった時にすぐ使用できるように訓練等もお願いいたします」
いわき市消防本部では市内の飲食店を周り、防火対策の指導を徹底。また、けが人や逃げ遅れを出さなかったポイントがどこにあるのか、検証を進めている。
いわき市消防本部警防課・鈴木央課長補佐は「(計画した場所の)近くで火災が発生したということで、まさしくその計画が有効に活かされたんじゃないかなというふうに私共は認識しております」という。

<警防計画も見直し>
円滑な消火活動を行う為に定めた「警防計画」。
道幅が狭く消防車が入れない場所や消火栓が近くにない地域などを対象としていて、今回の火災現場周辺も対象の一つだった。いわき市内でこの警防計画の対象地域は77か所。火災の未然防止はもちろん、被害を最小限に食い止めるためにいわき市消防本部では、改めて計画内容の見直しを行うことにしている。

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