1日で能登半島地震から半年です。
石川県の輪島市輪島朝市を襲った大規模火災では約240棟が焼失しました。
1カ所から出た火の手が、なぜ約5万平方メートルという広大な被害に拡大したのでしょうか。
「イット！」は火災拡大の経緯が分かる資料を独自に入手しました。
当時、消火活動にあたった消防団員への取材と共に検証していきます。
少しずつ復興が進む能登半島の被災地。
1日、石川・輪島市内では小学校の授業の様子が初めて公開されました。
輪島小学校などの6校は建物が被災したことから、現在は輪島中学校で授業を受けています。
児童からは「最初はもうダメだなと思ったけど、今はどんどん復興してきて楽しい」といった声が聞かれました。
しかし今なお、大きな爪痕が残されたままなのが大規模火災に見舞われた輪島朝市の一帯を占める河井町です。
日本三大朝市の1つとして親しまれた歴史ある町を焼き払った火は、どのように燃え広がったのでしょうか。
青井実キャスターは今回、当時消火にあたった消防団員を取材。
さらに、メディア初公開のシミュレーション動画をもとに独自検証します。
青井キャスターは6月30日、初めて輪島朝市の火災現場へ。
消防によりますと、地震直後の火災で約240棟が焼失したということです。
この地域では、地震が起きた午後4時10分に電気の供給が止まりました。
しかし、約50分後には電気が復旧。
火災発生の一報はそれから約20分後の午後5時23分に寄せられたのです。
FNNが入手した火災発生から約10分後に撮影された現場の映像では、暗闇の中に大きな炎が確認できます。
それから6分後、炎は建物全体に広がっていました。
当時、消防団員として現場に駆け付けたのが本多隆廣さんです。
輪島市消防団・本多隆廣さんは「向こう側が見えなくなって、炎で見えなくなっていたんで、道の両側で火の手が上がっていた感じ」と当時の状況を話しました。
総務省消防庁が作成した輪島朝市火災の再現シミュレーション動画によりますと、火災は町の西側を流れる河原田川近くの住宅で発生。
火は徐々に東側に燃え広がっていきます。
しかし、火災発生から2時間50分後、突如、広い道路を挟んで北側に燃え移りました。
この火について、動画を作成した消防研究センター・細川直史研究統括官は「この部分が飛び火の箇所。ここは『朝市通り』という比較的広い通りになるが、なかなか延焼しにくいという市街地の構造になっているが、この部分も火災が広がって、全体が焼け落ちている」と説明します。
この地区は、木造の建物が多く、火災で建物が崩れる際に舞い上がった火の粉が離れた場所で火災を起こした可能性があるというのです。
また、この時現場で起きていたのが消火用の水不足。
地震による地盤の隆起で、消火に使う川の水をくみ上げることができなかったのです。
輪島市消防団・本多隆廣さん：
最終的に火を消すというのは諦めたと言ったら変だが、「広がらない」という方向に消火活動が変わっていった。（Q.火を食い止める方向に変えた？）そうです。この通りから向こう側には火がいかないように火を消してくれと指示はあった。
総務省消防庁の担当者は、現場でのこの方針変更がなければ、火災の範囲が2倍に広がっていた可能性があるとしています。
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