マヨルカス国土安全保障長官(AP=共同)

【ワシントン=大内清】米上院で17日、急増する不法移民への対策を巡り、野党・共和党主導の下院で弾劾訴追を受けたマヨルカス国土安全保障長官の弾劾裁判が開かれた。上院は、憲法で定められた要件を満たしていないとして、弾劾訴追決議(起訴状に相当)で示された訴因を賛成多数で却下し、裁判は実質的な審理に入る前に終結した。

共和党は2月に下院で採択された弾劾訴追決議で、マヨルカス氏が、トランプ前政権時代の移民政策を変更して意図的に対策を怠り、不法移民問題について国民に誤った印象を与えたなどと主張。これに対し民主党とバイデン政権はマヨルカス氏の職務遂行に犯罪性はなく、決議は違憲だと反論していた。

米憲法は「大統領、副大統領および公職にあるすべての者」に対する弾劾要件について、「反逆罪、収賄罪その他の重大な罪または軽罪」を犯した場合と定めている。

弾劾訴追を受けた米閣僚はマヨルカス氏が史上2人目で約150年ぶり。共和党は弾劾裁判を通じ、11月の大統領選で最大の争点となる移民問題を巡りバイデン政権を攻め立てる狙いだったが、審理入りさえできず不発に終わった形だ。

ホワイトハウスの監査部門は17日、上院での却下は「正しい決定」だとし、「議会共和党は根拠のない政治ショーに時間を浪費するのではなく、(バイデン政権が進める移民制度)改革に参加するべきだ」との声明を出した。

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