2018年に死刑が執行されたオウム真理教の松本智津夫元死刑囚(麻原彰晃、執行時63)の次女が国に遺骨や遺髪の引き渡しを求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が2日、東京高裁であった。国側は元死刑囚の体の一部は信者の究極の崇拝対象という特殊性があり、教団の後継団体に渡れば公共の安全を脅かす懸念があると指摘し、請求棄却を求めた。
次女は意見陳述し「私は教団と関係ない。お父さんを返して」と涙ながらに述べた。
国側は遺骨などが後継団体の施設などに持ち込まれて聖地化すれば、周辺住民の生活や社会秩序を害する可能性があると指摘。引き渡しを認めた一審判決は弊害を十分に検討していないとした。
一審・東京地裁判決は、遺骨引き渡しを追悼目的と認め、次女の権利乱用ではないと判断。遺骨を悪用する意図があるとは立証されていないとして国側の主張を退けた。
この日の審理は警備が厳重な法廷で実施。次女はついたて越しに、教団とは関係を断っているとし「遺骨が教団に渡ることはない」と繰り返した。その上で「父を静かに悼み、弔わせてください。どうして国はお父さんを返してくれないの」と訴えた。
元死刑囚の遺骨などは帰属先が遺族間で争われた結果、21年7月に最高裁で次女と確定。しかし保管する国側との交渉が進まず、次女が22年10月、引き渡しを求めて東京地裁に提訴した。〔共同〕
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