国重要文化財の「道後温泉本館」(松山市)が7月11日に全館で営業再開するのを前に、松山市道後地区に蔵を構える「水口酒造」が日本酒「NIKITATSU2024 仁喜多津 純米大吟醸酒」2種類を醸した。1日の試飲会で水口皓介(こうすけ)専務(36)は「新たな本館とともに道後をもり立てていきたい」と意気込んだ。全館営業再開日の11日発売。
酒米は愛媛県産「しずく媛」を使い、精米歩合30%まで削った。酵母は県が開発した「EK―1」で、リンゴを思わせる華やかな香りや酸味、甘みが特徴だ。甘めの味付けが特徴的な愛媛の料理に合うように仕上げた。
青からピンク色のグラデーションで新たな夜明けを表現したボトルのデザインにも随所にこだわりが見える。本館の最上部にある振鷺閣(しんろかく)があしらわれているが、本来止まっているシラサギが飛び立っている。「水口酒造も一緒に道後から世界に羽ばたきたい」(水口専務)との思いを込めた。裏面には現在の神の湯本館棟が大規模に改築された130年前の西暦「1894」を刻んだ。
1300本限定の純米大吟醸酒は1本(720ミリリットル)5500円(税込み)。より手間をかけ、まろやかに仕上げた「無濾過(ろか)原酒 袋吊(づ)り 斗瓶囲い」は1本1万1000円で130本限定。道後温泉商店街などの土産物店や同社オンラインショップで購入できる。
道後温泉本館は2019年1月から部分営業をしながら配管の更新や耐震補強などの保存修理工事が進められてきた。二つの貸し切り休憩室が新設されるなど、装いを新たに5年半ぶりの全館営業再開となる。【山中宏之】
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