旧優生保護法下で強制された不妊手術について、最高裁大法廷は3日、国の賠償責任を認めた。最高裁正門前では、支援者から拍手が湧き起こり、歓喜の輪が広がった。
原告の一人、東京都在住の北三郎さん(81)=活動名=は「今までありがとございます」と自ら揮毫(きごう)した旗を掲げた。
北さんは14歳の時、宮城県内の施設で不妊手術を強いられた。28歳で結婚。「どうして子どもが生まれないんだろう」。妻の言葉が心に刺さり、不妊手術のことは言えなかった。
打ち明けられたのは、2013年になってから。病床にあった妻は「ご飯だけはちゃんと食べるのよ」と返し、数日後にこの世を去った。
「手術のせいで秘密を抱え、人生を大きく狂わされた」。手術は両親と施設のせいだと恨んできたが、国から強制されたと知り、18年5月に訴訟を起こした。
北さんを励ましてくれた姉は今春、亡くなった。これまで支えてくれた一人一人の顔を浮かべ、感謝の思いを込めて旗を準備したという。
北さんは「もう最高です。思いが伝わりました。夢のようです。これで女房と姉に報告できる。皆さまのおかげです」と喜んだ。
【井口慎太郎】
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