家族らが提訴-損害賠償請求額は15億円
2022年、北海道知床沖で観光船が沈没し20人が死亡、6人が行方不明となっている事故で、乗客14人の家族らが7月3日、運航会社と桂田精一社長に損害賠償を求め提訴しました。
その後の会見で被害者の家族らは「本当に苦しみと悲しみをもち続けた毎日」「桂田からは直接謝罪受けていない」などと苦しい胸の内を明かしました。
2022年4月、知床沖で観光船「KAZU1」が沈没した事故では乗客乗員20人が死亡、6人が行方不明になっています。
このうち乗客14人の家族ら計29人が観光船の運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長に損害賠償を求め、7月3日に札幌地方裁判所に提訴しました。
原告弁護団によりますと、請求額は約15億円に上ります。
「桂田からは直接謝罪受けていない」家族が心境を吐露
3日午後6時30分ごろから、提訴に踏み切った死亡・行方不明者の家族ら29人が会見しました。
「現実を受け入れられない。桂田からは直接謝罪受けていない」
「今回民事訴訟になったが、民事の責任者だけでなく刑事ももちろん。心に大きい傷。仕事を辞めざるを得ないことになった。精神的な影響でキャリア形成に影響がでた。金銭的な問題だけじゃない。桂田市は個別の謝罪なし。向き合っていない。腹立たしい。民事でこうした桂田氏の責任の一端をみてほしい」
「やはりこれほどの悲惨な事件を風化させてはならない。集団訴訟で取り上げてもらって世間にひろめて警鐘を鳴らす意味で今回訴訟に踏み切った。運送業・輸送業に携わる人たちが直接、携わる人だけでなく、自分たちの仕事が人命に直結していると考えてほしい」
「あの日から私たち遺族は本当に苦しみと悲しみをもち続けた毎日。桂田は平然となんの謝罪もなく、自分と自分の家族のために仕事してしているのが許せない。怒りがこみ上げてくる」(いずれも家族ら)
「事件の責任は誰もとっていない」原告側の訴え
家族の会見に先立ち、弁護団も3日、今回の提訴について会見しました。
Q民事裁判のきっかけは?
「いまだに事件の責任は誰もとっていない。桂田氏の真摯な謝罪もない。ご家族は怒りに震えている」
「刑事の処分について注目していることは事実。その見通しがはっきりしない。どこか一つ区切りということで民事裁判で提訴と考える要素になったと思う」
「一歩前にいくには民事裁判だと考える人も出てきた」
Q弁護団としての桂田社長への気持ちは?
「犯罪被害者を支援する立場からいえば事件なんです。事故じゃないんです。本事件は人災。誰1人として安全管理に関して気を配っていた者はいない」
「家族らもこれは人災だと言っている。こんなことで愛する家族を亡くして情けないと言っている。人災で起きたと事件と認識している」(いずれも弁護団)
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